鳥籠王女と教育係 婚約者からの贈りもの / 響野夏菜

本の感想, お気に入り, 作者名 は行響野夏菜

(1)離宮から一歩でも外に出ると死んでしまう (2)男の人に触れたらその人はカエルになる、という呪いを生まれたときにかけられた王女エルレイン。その呪いのおかげで今までいくつか縁談が破談になっていたが、魔法大国の王子様がエルレインの肖像画に一目惚れしたらしく、あれよあれよという間に婚約が整ってしまう。そして、エルレインの元に使わされたのは王妃教育兼呪い解除係としてやってきた尊大な魔術師ゼルイ-ク。ゼルイークの不遜な態度に腹を立てるエルレインだが彼の魔力は超一流で……


響野さんの新作は、前々作「ダナーク魔法村」と同じ世界を舞台にしたちょっと不思議な魔法もの。ダナークが魔法が消えかけている時代を描いた物語であるのなら、こちらは魔法真っ盛りの時代を描いたお話。生まれたときにかけられた呪いで「のろわれし王女」として城に閉じこもっている王女様が一歩ずつ外に出て行くお話でした。

ゼイルークとエルレインのそれぞれの嫌みの応酬もなんだかかわいらしくて(主にエルレイン)、ちょっとほのぼのとしてしまいます。二人ともとんがり方がかわいいわー(と言ったらゼイルークにしばかれそうですが)。そして、一目惚れ王子様の、なんというか、えらいパワフルなこと……。なんだろう、もうちょっと違うモノを期待していたのだけど……。「エルレインの肖像画を見て好みすぎて寝込む」というこの描写が本当に全てを物語っていました。

エルレインの呪いを解くのにはまだ時間がかかりそうですが、ここら辺の黒幕とかからくりとか含めて続きが楽しみ。やっぱり、この世界を舞台した話はいいわというか今からでもダナーク再開しても問題ないと思うよ!

img鳥籠王女と教育係 婚約者からの贈りもの
響野夏菜/カスカベアキラ
集英社コバルト文庫(2009.01)
ISBN:978-4-08-601248-5
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