≪魔法使い≫にお願い? 運命のタロット1 / 皆川ゆか

本の感想, 作者名 ま行皆川ゆか

新聞部に所属する水元頼子は、元新聞部の部長・片桐先輩に憧れ、親友の唯と掛け合い漫才を繰り広げ、片桐先輩の親衛隊と戦うというごくごく普通の女子高生生活を送っていた。しかし、ある日片桐先輩の発案で学校内にある謎の資料館を新聞部が取材することになる。そこで頼子は不思議なタロットの封印を解いてしまい、そのタロットに宿った大精霊≪魔法使い≫の協力者とされてしまいタロットの引き起こす騒動に巻き込まれる。


各方面から「第三部!第三部!」とか定期的な再読報告とかがあってそんなにおもしろいのかーと思っていた作品、諸処の事情でちょっと読んでみようと一念発起してみました。

一冊目は、なんというか評判とはちょっと違う「ごくごく普通の少女小説だなぁ(なんせティーンズハート)」と思いました。終盤近くまでは本気でそう思ってました。終盤、つまりは≪魔法使い≫に敵対するタロットである≪恋人たち≫の登場までは本当に普通の少女小説だと思ってたんですよ。才色兼備すぎる先輩に憧れて目をハートにしてうかれる頼子とか、その頼子の頼れる相棒・唯とか、片桐先輩を巡る親衛隊との「熾烈」なバトルとか。ちょっと違うところと言えばタロットの精霊≪魔法使い≫の存在だけでそんなに大事にはならないのかなぁと勝手に思っていたら、≪虫≫が出てきたり、それを裏で操る変なのがいたりとぐぐんと普通の少女小説から足を踏み外した感じが……。いやここが面白かったのですが!
≪魔法使い≫と頼子とのどこかずれた掛け合いなどなかなか本筋から外れた所も興味深く、そして≪虫≫をけしかけてきた≪恋人たち≫の真意とか勝負とかどうなっていくのか続きが楽しみですし、なによりも≪運命のタロット≫とはなんぞや?というところが本当に謎なのでそこら辺の謎に迫っていってくれるであろう続刊が楽しみです。

img≪魔法使い≫にお願い? 運命のタロット1
皆川ゆか/乱魔猫吉
講談社X文庫TH
ISBN:4-06-198698-8
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