レプリカ・ガーデン 廃園の姫君と金銀の騎士 / 栗原ちひろ

本の感想, 作者名 か行栗原ちひろ

十五年間屋敷から一度も外に出ず、従者ヴィリとたった二人で暮らす少女クリステル。ヴィリと覚えるほど読んだ図書館が全てだった彼女の世界に、墓守を名乗るルカという青年が現れる。ヴィリを「壊す」ためにやって来たというルカは、クリステルが暮らす「円環都市」は三十年近くも前に滅びたという事実をつきつける。ルカによって壊されかけたヴィリを救うため、クリステルはヴィリとルカの三人で人形師が集う街水葬都市を目指すことになる。

閉じられた世界から旅立つ少女の物語。

人形師に作られた人形と人との物語「レプリカ・ガーデン」の二冊目は、温室育ちのお嬢様と、彼女を守ることを使命とする人形の物語でした。一度滅びかけた世界を舞台に、何ともいえない退廃的な雰囲気の漂う物語で……うまくいえませんが好みです。これ以上退廃的になるとついて行けないのでちょうどいい。

大事な人を守るために、鳥籠の中から旅立って、そして最後はちゃんと自分の足で立ったクリステルが健気でかわいかったなぁ。図書室の本とリヴィだけの世界から一歩ずつ外に踏み出していくところが丁寧に描かれていてよかったです。主従ラブはもう鉄板というかルカと一緒に端から見るとあからさますぎてとてもごちそうさまでした。ちょっと二人の心境の変化が物足りなかったような気もしますが、しかし主従ラブですので。最後のリヴィの慌て具合とかとても好き。お嬢様命の従者、イイデスネ。

滅びた都市の真相にほほぅとなったり、前作のあの人たちの様子が少し垣間見られたり、再登場のあの人は相変わらずいい人すぎてほっとするやらなんやらで、前作に引き続き読めて良かったなぁと思います。

imgレプリカ・ガーデン 廃園の姫君と金銀の騎士
栗原ちひろ/明咲トオル
B’s-LOG文庫(2009.06)
ISBN:978-4-7577-4946-7
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