アネットと秘密の指輪 お嬢様とはじまりの涙 / 雨川恵

本の感想, 作者名 あ行雨川恵

突如として屋敷から姿を消したリチャード。そしてそれと時を同じくしてアネットが持つある指輪を手に入れるために屋敷やアネットの元に不審人物が現れる。リチャードの行方を追うため、顧問弁護士のユージンの助力を求めたアネットは、陰謀の渦中に巻き込まれていくのだが……。

いろいろと「ついに」なお話でした。満足満足。

陰謀面とリチャード面で大きく前進しましたアネットシリーズ第5巻。なにやら「来たっ!」という展開であることはあちらこちらから聞いていたのですが、本当に「来たっ!」という展開でほっと一安心でした。

まずは陰謀面とリチャード。前巻で理由がよく分からないまま屋敷を去ったリチャードの内面が語られましたが、まさかあそこまでの決意をしているとは思ってもみず。あの通りになることはないだろうなぁ(少女小説の話の展開的に)というのはありましたが、彼の全てを背負った決意にいたたまれなくなってしまいました。そして、アーカート家の再興を目指すオジサマ方。読者の立場からするとアネットとリチャードを切り裂いた「悪役」なんですが、結構好きだったり。いつ「おさらばでございます」とか言い始めるんだろうと凄く期待してしまいました(あらぬ方向への期待)。

そして肝心のリチャードとアネット面。思ったよりもアネットが冷静に行動していて、そしてユージンの力を借りつつも自力でリチャードにたどり着いた姿にいいヒロインだ!と感心しました。やっぱり頼りになるヒロインはいい物だ。「ついに」の所は「やっとついにだ!」といろいろとゴロゴロしてしまいました。最後の最後に思い出すのが……とかええですねぇ(涎を自重)。ごちそうさま。

陰謀方面は一旦かたがついたものの、問題は山積みです。続きも楽しみ。

imgアネットと秘密の指輪 お嬢様とはじまりの涙
雨川恵/風都ノリ
角川ビーンズ文庫(2009.11)
ISBN:978-4-04-450714-5
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