姫君返上!―運命を試す者― / 和泉統子

本の感想, 作者名 や~わ行・他和泉統子

皇女として育てられたものの、脱・皇女を夢見るアレク(男の子)は脱・皇女の成就条件である異母兄の皇位即位のために、桜花選帝侯の即位式・結婚式に出席するために桜花選帝侯国に向かう。様々な妨害工作やさらに、とある人の想い人からいきなり求婚されるなど、幾多の困難を乗り越えてアレクは皇女のつとめを果たすために式に潜り込むが……

アレクもノエルもドツボにはまっていって……(特にノエル)!がんばれ。

脱皇女のためにいろいろ四苦八苦するアレクと恋する乙女のノエルさんの苦労物語。お互いに話が進むほどにドツボにはまっていって、ご愁傷様としかいいようがありません。
アレクサイドでは、アホな子ほどかわいらしい、アホな子ほど真意をつくで見事に桜花問題を片付けたアレクに拍手。アホというよりむしろ「勉強しない子」なので、やればできる子なんですよね……アレク。このまま立派な皇女さまになるんじゃないだろうかという失礼な感想を抱いてしまいました。
ノエルおねえちゃんの方は自分で墓穴を掘って墓穴に突っ込んでいって墓穴が埋まるのを待っている状態の書き下ろしが凄く面白かったです。読者としてはバックグラウンドを知っているだけのその選択はあり得ないと知りつつも、周囲がそちらに向かって邁進しようとしている姿に思わず合掌を。がんばれ、ノエルさん。きっといいことがある日がそのうち来るはず。

ということでノエルさんの恋の行方が気になって仕方がないので続きも楽しみです。

img姫君返上!―運命を試す者―
和泉統子/かわい千草
新書館ウィングス文庫(2010.02)
ISBN:978-4-403-54149-0
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