そして花嫁は恋を知る 黄金の都を興す姫 / 小田菜摘

本の感想, 作者名 あ行小田菜摘

継母との折り合いがつかず、宮殿を離れて暮らす皇女イリアティーヌは、17歳を迎え父である皇帝から暗に結婚相手候補となる男性を紹介される。しかし、結婚相手の候補である外国出身の若き将軍シリウスは、皇帝になりたくはないという。そんな中、皇帝が倒れたという報がイリアティーヌに告げられ……

いつも以上にラブが薄目で政治色が強かったかと。

帝国の中興の祖であるグラディウス皇帝のできあがるまで、のお話。引きこもり気味の皇女と剣闘士出身の将軍という、設定だけでもわくわくしますね。そして案の定とてもワクワクしました。今回も恋より政治のお話が多めで、この堅さがいい。そして、端々に語られる「聖女エイレーネ」もイリアティーヌの侍女として登場(ですよね、彼女が聖女エイレーネですよね)。確かにこのくだりは美化したら聖女だ。

最後の最後にぐっとくる恋模様もこの物語の醍醐味でもあるんですが、今回もやっぱり良かったですね~ドラマティック。でも、シリウスの気持ちの変遷がちょっと謎だったのはもったいないかな。エイレーネに淡い想いを抱いていたような描写はあるものの、その後にあんまり生かされていなくて。イリアティーヌにも惹かれている様子はあったので問題ないと言えば問題ないんですが、あの事件の後悔だけなのかな?とかそんなモヤモヤ感が。

とかいいながらも、やっぱりいつも通り楽しめました。次はどんな時代なんだろう、と期待しています。

imgそして、花嫁は恋を知る 黄金の都を興す姫
小田菜摘/椎名咲月
集英社コバルト文庫(2010.08)
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