懸想する殿下の溜息 / 森崎緩

本の感想, 作者名 ま行森崎緩

従者マリエに意を決して告白したカレル王子だが、マリエは王子の意中の相手が自分だと気付かずにカレルの想いを成就させるため奮闘する。カレルのお妃候補のルドミラまで巻き込んでのカレルの初恋は……

近衛兵にまぎれてニヤニヤ見守りたい、そんな恋でした。

レガロさんのネット小説シリーズは、王子様とその超まじめな従者のすれ違いすぎるラブストーリーでした。王子様の気持ちがあからさますぎて、端から見ればもうバレバレなのに気付いていないのは本人のみって!鈍いにも程があるというか、鈍いのは罪ですね。天才的な鈍さでカレルの猛攻をかわし続けるマリエがすごい。恋のドキドキというかはらはら感はないんだけど、マリエがいつ気付くんだ気付くんだ!というじれじれ感はすごく味わえました。
おっとこ前な貴族の令嬢ルドミラも格好良かったなぁ。芯の通った気の強い、それでいて時折見せる思いやりがすばらしいお嬢様は大好きです。

近衛隊のひとたちが時折にやにやしている描写があって、そこに紛れ込みたい、混じりたい!と思ったこと数度。そして、その隊を束ねるアロイスさんの苦労が忍ばれます。王子が大事で、でもマリエのことも大事な仲間として尊重しているが故のあの行動。年長者だからこそ分別あることをしてしまう隊長と、カレルの若さからの情熱の対比も良かったなぁ。

原作のネット版とは結末が若干違うらしいので、またネット版も読んでみようかなと思っております。

img懸想する殿下の溜息
森崎緩/エナミカツミ
イーストプレス レガロ(2010.08)
bk1/amazon