金翅のファティオータ 四界物語1 / 黒川裕子
幼い頃、海獣トゲウオに故郷を滅ぼされたシルッカは、長じて波頭馬の準騎士になった。そして、配属先の戦艦<オムネリア>では、新人騎士はふたり一組で組むという<オファン>のシルッカの相方は、現皇帝の息子で第一皇子であるリンゼイ・ヴォー。リンゼイ・ヴォーからは全く相手にされていないシルッカだったが、水上集落を襲おうとするトゲウオ殲滅戦で命を落としかけた折に不思議な力で生きながらえ、さらに世にも珍しい「トゲウオの赤ん坊」を拾った上になつかれてしまい……
ファティオータかわいい。小動物好きは必読。
第6回C-NOVELS大賞受賞作の三部作一作目。文才のない自分が非常に恨めしくてがんばって書いたあらすじに正直大変げんなりしているんですが、とても面白かったです。作り込まれた世界でしっかり目のファンタジーでした。
序盤は騎士としてはイマイチなシルッカのトホホ騎士生活かと思ってのんびり読んでたんですが、中盤で大きく話が動いてページをめくる手が止まらなくなりました。皇子さまはいったいどうなるんだろうとか、このいろいろうごめく陰謀はいったい!とか先が読めなくて。そのあたりはあっさり明かしちゃうんだ~と驚きつつ、その先で提示された世界のアレコレに確かにこの陰謀は引っ張りすぎるのも良くないな、と思わず納得した次第です。
傍若無人な女王様・ティーちゃんがかわいくて(怖いんだけど)和みつつ、それに振り回されるシルッカに思わず合掌。女の子っ気がないんですが、ティーちゃんがいるので!いいと思います。シルッカを見守り育てた大人達が格好良くてこれまた素敵。中でも死亡フラグが立ってしまってる彼は気になりすぎます……。シルッカと皇子があの人から「託された」関係でなんとか挽回してほしいのだけど。
これからの展開が全く見当が付かないので素直に続きを待ちたいと思います。
金翅のファティオータ
黒川裕子/黒葉.K
C-Novels Fantasia(2010.07)
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