レディ・マリアーヌの恋人 / 宇津田晴

本の感想, お気に入り, 作者名 あ行宇津田晴

病床の国王に代わりローズウィークの采配を任された兄のアルベルトを補佐するロベルトだが、アルベルトを失脚させようとする一味の妨害工作を阻止するため、マリアーヌと恋人のフリをして人知れずのサポートを行う。そして、恋人役となったマリアーヌは相変わらずご令嬢方に大人気のロベルトの様子を見て、名前のつけられない感情を抱き……

面白かった!ニヤニヤしっぱなし!

素敵な恋をしてめでたく結婚するためにかわいらしいご令嬢を目指す元騎士のマリアーヌと、彼女を誘惑(!)する第二王子ロベルトのドタバタニヤニヤラブコメディ。相変わらずの無自覚無頓着で察しの悪いマリアーヌとロベルトのやりとりが面白すぎて、ごろごろどったんばったんでした。息つく暇のないこの甘いけどどこか緊張をはらんだやりとり(主に、マリアーヌがいつ気付くのかという点において)が素晴らしいなぁ、これ。

無自覚にご令嬢をたらしまくり、ほとばしる殺気(ロベルト談)で窮地を乗り切るマリアーヌと、楚々としたご令嬢にならんと努力するマリアーヌのギャップはかわいいし、それにキャーキャーいってる王女様をはじめとするお嬢さん方が面白く、さらにマリアーヌにストレートに告白してるものの最大の障壁・侍従のカイルにことごとく邪魔されるロベルトも面白く。カイルvsマリアーヌに近付く男性陣、が非常に読み応えがありました。

しかし、まだまだネタは続きそうなのにこれで完結というのも非常に残念ですよね。マリアーヌの体に宿った「月の欠片」の謎は完全においてけぼりで、後はマリアーヌの実家vsロベルトとか面白そうなネタもありそうで、さらに勘違いルース隊長の出世物語も。エピローグが楽しいながらも駆け足過ぎたので、せめてもう一冊、と思ってしまいますが、とても楽しい物語を読めたので……次回作に期待です。

imgレディ・マリアーヌの恋人
宇津田晴/高星麻子
小学館ルルル文庫(20110.04)
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