左近 浪華の事件帳 遠き祈り / 築山桂

本の感想, 作者名 た行築山桂

大坂の町を密かに守り続けてきた<在天別流>の現当主の異母妹・左近。在天が探る人形芝居一座虐殺事件と、左近が偶然助けた女性のかかわる事件が絡み合い、大坂の町でうごめく陰謀にまきこまれた左近は……

ちょっと気弱な左近殿もそれはそれでいい!

(感想をサイトに上げてませんが)どったんばったんしながら読んでいた「緒方洪庵事件帳」がはじまる二年前のお話。章くん(緒方洪庵)の憧れの男装の麗人・左近殿が主役の物語です。在天のメンバーとして活躍し始めた頃のお話なので、まだ少し揺れている左近殿が……かわいいような、かっこいいような!いやそれよりも!左近殿のお兄ちゃん・弓月王が!妹大好きで素敵でした(そこか……!)

このお話では男装姿にこだわる左近殿が一つ成長して、ああ、あの男装も女装も使いこなす左近殿になるんだな、となんとなしにムフフと笑いをかみ殺してしまいました。むふふといえば、章君物語につながる単語があれやこれやとたくさん出てきて、こちらもむふふ、と。事件自体はかなり凄惨で、そしてうごめく陰謀は気分の悪いものなんだけど、他のシリーズのあれやこれやが思い出されまして……ちょっと読み直したくなってしまいました。この在天別流がかかわるシリーズは、どれもこれもすとんと地理関係が理解できて大変読みやすいのが地元民的にも素敵。

そんなわけで、いろいろ楽しいでのシリーズ化しないかなぁと淡い期待を寄せたいと思います。ちなみに、お兄ちゃん主役の築山さんのデビュー作:浪華の翔風も最近復刊しましたが、こちらも面白いです。

img左近 浪華の事件帳 遠き祈り
築山桂
双葉文庫(2011.05)
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