あやしの恋 螺鈿の君と春雷の怪 / 月本ナシオ

本の感想, 作者名 た行月本ナシオ

血まみれの花嫁衣装を着て、記憶を失っていたいちきは、彼女に迫るカルディアから逃げ出したが、すぐに「いちきと言い交わした仲」という青年・百雷に助けられる。断片的に記憶を取りもどしていくいちきだが、百雷のことはなかなか思い出せずにいるものの、百雷の助言に従い都を目指す。

口うるさい同僚君が……一番好き……。

ビーンズ文庫で活躍されている作者さんのアイリス文庫1冊目の和物ファンタジー。怪と人とが微妙なバランスで共存する国を舞台に、記憶をなくした女の子と、その女の子にそれぞれ迫る青年ふたりの物語でした。
設定的には割と好きな部類なんですが、基本的にはいちきが徐々に記憶を取りもどしていくことで話が進んでいくという「過去の出来事振り返り」系なので、あっと驚く出来事があったのであれば引き込まれたんですが、今回のはなんというか、ちょっと盛り上がりに欠けるというか、なんというかで……。んー、もうこうなったら個人の好みなんで何とも言えませんが、私はもう少し強めのパンチがほしいです。
主人公まわりよりも、良き脇役の口うるさい要君が個人的にツボでした。そういえば、この作者さんの前作(ミリセントのグレイ)や今作(タロットの天才少年)も口うるさい系で、お気に入りです。……私のツボなのか……。

imgあやしの恋 螺鈿の君と春雷の怪
月本ナシオ/サカノ景子
一迅社アイリス文庫(2011.06)
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