そして花嫁は恋を知る 想いは砂色の聖地に舞う / 小田菜摘

本の感想, 作者名 あ行小田菜摘

ブラーナの皇女リュビアは、カラ・ブライの国王の後妻として嫁ぐことが決まっていたが、国王が急死しためにその息子である次期国王アレグに嫁ぐことになる。リュビアに持たされた「ブラーナから」の持参金に、宗教の問題が絡む厄介な「港」をつけられてしまったため、リュビアは今まで経験のない政治問題に頭を悩ますことになるが、とある理由からアレグに相談するのもためらわれて……

おお、政治とロマンスがこれまたいい具合に。

シリーズ11冊目か12冊目くらいのお話。時系列的には1冊目と2冊目の間のお話だそうです。二つの宗教の聖地になっている地だの聖地巡礼だの巡礼者保護のための神聖軍だのそこらへんのきな臭い出来事に頭を悩ますことになった皇女さまと次期国王様のお話で……二人の「話し合い不足による理解不足」からのロマンスと、政治関係のごたごたっぷりのバランスが(個人的に)良い具合でした。このシリーズはやっぱりよい宮廷ドロドロ政治少女小説!

今回はすれ違いはあるものの、年齢の割に落ち着いているアレグと、がんばるリュビアのよい夫婦になりそうな関係が好きだし、なにより空気の読めないルシアン教徒ルヴィックさんが面白かったです。ルヴィックさん、いい男前だな…無駄に熱いけど。そしてこの天然が本当に天然なのか知りたいのでこの人の嫁取り物語が読みたいですよ私は!

imgそして花嫁は恋を知る 想いは砂色の聖地に舞う
小田菜摘/椎名咲月
集英社コバルト文庫(2011.11)
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