廃王国の六使徒 / 栗原ちひろ

本の感想栗原ちひろ

世界中の呪いが集まるという百塔街で自身の美貌と父からの「遺産」を糧にのらりくらりと人生を謳歌しているアレシュ。ある日、百塔街を浄化せんとやってきた神の寵児である司教に対抗するために、三百年前に街を救ったという「深淵の使途」を再結成することにしたアレシュは、下僕、魔女、葬儀屋、メイドの少女をメンバーに活動を開始する。

まともな人はいないのか!と思いながら読んでしまいました。

悪の巣窟を舞台に、それぞれ独自の美学で生きるアレシュたちがある利害のために一致団結して戦うお話。主人公が一番「役立たず」で、その他のキャラクターがチートすぎて、対する司教も最強のチート能力の持ち主で、スーパーびっくり人間対決で非常に派手でしたねぇ。

最初この街の価値観というかなんというかが相いれなくて(人がざっくざっく死んでも平気とかなんとか)むむむと思いながら読んでいたんですが、途中からなんだかそこらへんがあまり気にならなくなって、このスーパーびっくり人間対決どうやって決着付けるの!と非常に楽しんでいました。それぞれいろいろな思惑があるとはいえ、アレシュの呼びかけに応じて、それぞれの得意分野でぐぐぐっと活躍していくところが楽しかったです。思わず脱力してしまう登場人物たちの掛け合いもよかったなぁ…あれ、この話コメディ?いいやコメディではないはず…!

それぞれの顛末は面白かったですし、思わぬところでなるほど、というところも多くて最後まで読むと最初の違和感はなんだったんだろうな、と思ってしまうほどでした。

img廃王国の六使徒
栗原ちひろ/THORES柴本
F-Clan文庫(2011.11)
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