夢の宮~亞心王物語~ / 今野緒雪

本の感想, 作者名 か行今野緒雪

鸞の王女・孌鳥は弟で次期国王である琲虯の反抗期に頭を悩ましていた。そんな中、父である国王が倒れたという知らせを受けるが肝心な時に琲虯がおらず、あまつさえ孌鳥のもとに琲虯をさらったという盗賊から琲虯を返してほしくば一人で取り返しにこいという伝言まで受けてしまう。琲虯をさらったのは、亞心王と名乗る不思議な青年で、彼と孌鳥は王宮の中で出会ったことがあった。

もうそろそろ来るかなぁ、と思っていたら、切ないお話でした。

今回の夢の宮は、しっかり者の王女様と、王子様をさらったいわくありげな盗賊、そして絶賛反抗期の王子様のお話でした。
おお、なんかいわくありげ!そうか、そうくるか!なるほど!といちいちうなずきながら読んでしまう程度に次々につながっていく「隠された真実」が興味深くて、これは悲しい結末になりそうだなぁ、というお話は読むのが苦手なのですが、ぐいぐい読んでしまいました。暗く沈みこまないのは、今野さんの魅力だなぁと思います。

悲しいのに、なぜか読了感が非常にさわやかで。本を閉じた後なんとも不思議な心地がした物語でした。

img夢の宮~亞心王物語~ (上)
今野緒雪/波津彬子
集英社コバルト文庫(1996.04)
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img夢の宮~亞心王物語~(下)
今野緒雪/波津彬子
集英社コバルト文庫(1996.08)
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