シャイターンの花嫁 偽りの巫女と影の王子 / 栗原ちひろ

本の感想, 作者名 か行栗原ちひろ

一族を滅ぼされ、育ての親も敬愛する巫女姫カミリアも殺されたアイシャは、アイシャを「エサ」として彼女についてくる精霊の力を借り4年の間に剣士としての力をつけた。残した魔法の指輪の魔法を使って美姫「ナシーマ姫」に変身し、復讐を果たすために一族を滅ぼしたと思われる一族の王子マハールのもとに「嫁ぐ」ことに成功したアイシャだが、同時にマハールの副官カファスに戦士として仕えることになってしまう。

精霊のナーギさんがお茶目で好きです。

アラビアンな世界を舞台に、復讐に燃える女の子アイシャと、アイシャを「エサ」として追い回す(そして世話する)精霊ナーギ、さらにアイシャを気に入ってなにかとちょっかいを掛けてくる軽めに見えるカファスなどなどが繰り広げるアラビアンファンタジー。

出だしはダメダメだったアイシャが、仇をうとうと立ち上がり、ナーギとともに敵地に乗り込んでいくという出だしは展開はいいなぁと思ったのですが、アイシャの「絶世の美女のお姫様に変身しているのに(地が出て)迂闊すぎる」ところにちょっと引っかかりを覚えたりとかなんとか。うーん、このあたりは楽しいといえば楽しいし、この「うっかり」があるから話が進んでいくんですが、なんというか、ちょっとなんか期待していたものと違うわ!とか思ってしまったんですよね。
しかし、話が進んでいくとそんなことよりも、二転三転していくあれこれがすごく面白くて、中盤までの引っ掛かりが嘘みたいでした。終盤は(個人的には)予想外だったなぁ。たしかに、彼の人は不気味すぎる存在ではあったんですがまさかまさか。

そんなこんなで「バレたらまずい立場」のナーギさんが個人的にはおもしろすぎて、そして「復讐の相手のはずなのに…」と揺れて、そして頑張る女の子は良いものでした!

imgシャイターンの花嫁 偽りの巫女と影の王子
栗原ちひろ/結川カズノ
一迅社アイリス文庫(2012.12)
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