嘘つきは姫君のはじまり 夢見るころをすぎても / 松田志乃ぶ

本の感想, 作者名 ま行松田志乃ぶ

東宮の元服と宮子の入内を控え、華やぎ始めた後宮。そんななか、蛍の宮は今上帝より、東宮の元服祝いに四季の香を揃えるように命じられるが、諸処の事情でその四季の香を題材とした、女性陣対蛍の宮の香合わせ対決に発展する。香合わせの名手と名高い蛍の宮に挑むため、それぞれ秘伝の香を合わせることとした女性陣は……

蛍の宮が大活躍で、個人的には文句の言いようがございません。

シリーズ完結後のおまけの短篇集2分冊の一冊、女の子編。といいながら、この巻の主人公は間違えなく蛍の宮だね!と握りこぶしで喜んだ一冊でした。宮子の入内までの日々を描いた掲題作「夢見るころを過ぎても」、そして蛍の宮と五節の姫君のその後を描いた「ふつうの速さで歌うように」、さらに五節の姫君と姫子の初登場物語を漫画化した「尼姫さまがやってきた」の三編収録。鳩子さまの壮大な後宮計画の第一歩「鳩の会」がよいものでした。次世代の後宮を担う「鳩の会」、横で眺めていたい。

たぶん、メインは掲題作の宮子と東宮の落とし前編(笑)なんでしょうが、ここでもお兄ちゃんのお兄ちゃんたる苦悩が!お兄ちゃん素敵。そして、お兄ちゃんと五節の君とのじれじれ(+姫子のお転婆)がたのしい次の物語も!もう素敵すぎて頬の緩みが止まりません。

img嘘つきは姫君のはじまり 夢見るころをすぎても
松田志乃ぶ/四位広猫
集英社コバルト文庫(2012.03)
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