六蓮国物語 皇宮の嘘つき公主 / 清家未森

本の感想, 作者名 さ行清家未森

近いうちに嫁ぐ公主の周囲で怪奇現象が発生し、その原因追求と護衛のために上司で偽装婚約相手の季隆と公主の元に詰めることになった結連。しかし、公主は結蓮たちを追い払おうとあの手この手のわがまま放題で、さらにかねてから結蓮に求婚する公子まで都にやってきて、結蓮に猛アタックをかけてくる。

動揺する季隆さんがおもしろい。

甥っ子の太子のことが好きすぎて、数度の婚約破談を経た結果、仕事場の上司で他国からの留学生である季隆と偽装婚約することになった結蓮の運命やいかに、というお話の第二弾。結蓮の背景関係もいろいろあるんですが、まだそこまで本題が進んでないのでやっぱり着目点は「結連と彼女をいじる上司」になっちゃいますねぇ。今回は季隆の師匠が登場し、結蓮のあこがれの人=季隆であることは結蓮本人以外は知っているよーという状態で、師匠が結蓮と「あこがれの人」の文通を取り持ってしまうので……自分宛の手紙の内容を相談されたり、目の前で手紙読まれたりと受難の続く季隆が面白かったです。さらに、なし崩し的に始まった同居生活のアレコレ、そして今回のお話の落とし所の新住人関係もよいものでした。

結蓮があこがれの人にコンタクトできるとはしゃいでいる一方で、結蓮に猛アタックをかけるもう一人の公子の真意がよくわからず、敵か味方かもはっきりしないので非常に不気味ですね。ただ「結蓮が大好き」というだけではなさそうですし(しかし、裏表なくただ好きなだけというオチも……それはそれで面白い)。続きも楽しみです。

六蓮国物語 皇宮の嘘つき公主
清家未森/Izumi
角川ビーンズ文庫(2012.04)
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