上流階級 富久丸百貨店外商部 / 高殿円

本の感想, 作者名 た行高殿円

伝説の外商部員・葉鳥の退職準備に伴い、バイトからの叩き上げで正社員になった静緒は葉鳥の顧客を受け継ぐ候補生として、富久丸百貨店外商部初の女性として抜擢される。今までの百貨店バイヤーと全く違った世界の仕事の方法に戸惑いつつも、一癖も二癖もある「上流階級」の顧客の要求に対応していく。

安定の「痛快お仕事」モノ。楽しかったです。

高殿さんのお仕事モノとしては、税務署の徴税官の奮闘を描いた「トッカン」シリーズが楽しかったのでこちらも楽しみにしておりましたが、期待を裏切らない面白さで堪能しました。普段、あんまり関わりあいになることのない世界「百貨店の外商」を舞台にした、叩き上げの女性社員が機転と根性でピンチを乗り越えていくお話。「トッカン」は新人ちゃんが主人公でしたがこちらはノリにノッてるバリキャリ女性が主人公なので、「(上司のさりげないアドバイスを受けながら)失敗を挽回」というよりも「今まで培ってきた経験を元に苦境を乗り越える」話で、系統は違えど面白かったです。

最後の最後まで、静緒さんの奮闘物語なのかなぁ、と思っていたら最終章で思わぬ所に進んでいって、ちょっと意外で面白かったです。意外といえば、嫌味なあの後輩君。まさかの作中一の「オトメ」で笑いました、すいません。
いろいろとままならないことが多くて、読んでて色々いたたまれない気分にもなりましたが、終わりよければ全て良し、ということで。トッカンに引き続き面白かったので、高殿さんのお仕事小説シリーズ、次も期待しておきたいです。

上流階級 富久丸百貨店外商部
高殿円
光文社(2013.11)
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