ニーナと精霊の扉 黒衣の公務員と碧の秘密 / 羽倉せい

作者名 は行羽倉せい

亡き父の跡を継ぎ、ひとり写真館を切り盛りするニーナの密かな趣味は、普通の人間には見えないヴェーダの精霊の力・エレメンタルを写真に収めることだった。エレメンタルを集めた秘密のコレクションを察知した特殊免許申請課のジョエルの訪問を連日うけるが、コレクションを没収されることを危惧するニーナはコレクションの存在を認めない。そんなある日、ニーナの写真館が何者かに襲われたところをニーナはジョエルに助けられる。

サブタイトルに公務員って!といろいろ突っ込みたくなったけど面白かったです。

第12回角川ビーンズ小説大賞・読者賞受賞作品。働く女の子が精霊の力にまつわるトラブルに巻き込まれ、真面目な公務員とチャラい警官と生活力のなさそうな学芸員に助けられ、謎の敵に立ち向かうお話。タイトルが公務員というきらびやかなところからかけ離れているのですが、ちゃんと少女小説でした!ある意味目立つタイトルなので、そういう部分ではありかもしれないです。
ニーナの一人称小説なので、一人称が苦手ならちょっときついかなぁと思いましたが、ニーナはアホの子ではないので私は結構好きかなぁ、と思いながら読んでいました。切り替えはやっ、とかそれ絶対罠やって……とか、お決まりのところでは思わず突っ込みましたが、それもまた醍醐味ということで。

パリっぽい、19世紀後半っぽい(こっちは適当)街を舞台に、普通の女の子のはずのニーナが、普通の人には見えない「力」をなぜか写真にとることができることから巻き込まれるトラブルはもうちょっと大きくなって引きずるのかな、と思いきや、読み切りでも大丈夫だよーというところできれいに片付いて折りました。ビーンズ文庫のことだから、もうちょっと続くのかなぁとは思うのですが……、どうなんでしょうか。ジョエルの実家関係やらなにやら、面倒臭いことは色々残っていますからねぇ。

ということで、ニーナの前向きなところや仕事にかける情熱は読んでいて楽しかったので、続きが出るのなら読んでみたいです。

ニーナと精霊の扉 黒衣の公務員と碧の秘密
羽倉せい/アオイ冬子
角川ビーンズ文庫(2015.01)
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