忠犬侍女の愛しの王子様 / 宇津田晴

本の感想, 作者名 あ行宇津田晴

権力闘争から逃れるために田舎の城館で医者として研鑽を積む第二王子ファラールは第三王子ホネストの治療のために城に呼び戻される。ファラールに助けられ彼に命を捧げる(と言っても過言ではないほど心酔している)侍女のリーリアは、ファラールとともに城に向かい、ファラールの世話をしつつホネストの話し相手になることになる。ファラールの帰還により、第一王子を追い落とそうとする一派の動きが活発になり、ファラールもその動きに乗るような素振りを見せて……

これも、またいいお兄ちゃん(略

三兄弟で王子様ってこれもう絶対この堅物お兄ちゃん美味しいポジションでしょう、という期待に見事に答えて頂いた一作、楽しかったです。妄信的にファラールに尽くす侍女リーリアのファラールを愛するがあまりの暑苦しい愛、というか溢れ出る愛にドン引きする周囲がちょっと楽しかったです。そしてファラールさんの策士なこと。見事な外堀のうめ方にこの腹黒め!(もちろんリーリアは気づいていない)というところも、お約束ながらも楽しかったです。

なんやかんやと仲の良い兄弟は読んでいて楽しいものですし。わかりやすーい小悪党とそれを成敗する主人公サイドというのも楽しい物で、これまたよい読み切り少女小説でした!

忠犬侍女の愛しの王子様
小学館ルルル文庫(2014.10)
宇津田晴/くまの柚子
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