宝塚-宙組 / 王家に捧ぐ歌
宙組の朝夏さん・実咲さんコンビの大劇場お披露目公演「王家に捧ぐ歌」を観てまいりました。
当初の予定の日程を泣く泣く諦め、ようやく観てきた公演、期待通りでよいものでした……すごつよ。
ベースはオペラの「アイーダ」を元に作られているので、エチオピアの王女さまがエジプトの将軍と恋仲になりつつも、ファラオの娘さんが将軍の事好きだし、捕虜になったエチオピアの王様はまだまだエチオピア奪還をあきらめてないし、わたしどうすればいいの(byアイーダ)というような、そんなお話。
この公演は、宝塚オリジナルですが1本モノ(ショーがないやつ)で、かつオペラ的にだいたい歌でお話が進んでいくという、なかなか見応えのあるミュージカル。ファラオは飛ぶし、大きな舞台装置はバンバン動くし、話はさくさく進むしと、息をつく暇もなくてあっという間に終わってしまいました。星組さんのときもあっけに取られていたようですが、今回も展開知ってるくせに若干あっけにとられておりました。ストーリー展開はなかなかドラマティックなんだけど、ラダメスが序盤からアイーダにメロメロで、アイーダも拒絶しつつもまんざらじゃなくてというとても素晴らしい設定なのに、ラダメスがアイーダを助けた時から気になってたとか言うわりに助けたエピソードがなくて説得力にかけてて残念だなーと思いました。ここはぜひとも3分くらいでいいのでなんか盛り込んで欲しいところ(乙女心的に)。
メインはラダメス、アイーダそしてアムネリス様なんですが、ラダメスの友人やアイーダのお兄ちゃん、アイーダをいじめるときにいきいきしすぎ!な女官長様やかわいい女官ちゃんたちなど、見どころがたくさんで困りました。ラダメスかっこいいし、アイーダの揺れ動く乙女心もよいしなんですが、やはりアムネリス様のひれ伏したくなるような美貌がすばらしい。たとえお歌の高音部分にかなり若干の不安があったとしても、「ファラオの娘だから」ソングは中低音がメインなので問題なし!その他のお歌も本日かなりはらはらしたけどその美貌があるから大丈夫!と思った次第です。
あとは、お兄ちゃんねー。アイーダのお兄ちゃん、私が星組で気になるのは……と事あるごとにお名前をうわ言のようにつぶやいている真風さんなんですが、このお兄ちゃんがね……。アイーダにポンポンひどいことを言い続けるお兄ちゃんですが、これは妹が好きすぎてまわりまわってこんなひねくれちゃったんじゃないのか?という考えに思い至った結果、途中からお兄ちゃんがツンデレにしか見えなくて困りました。ごちそうさまでした。真風さんなので少々意識して追いかけていたため、お兄ちゃんと王様とが結構途中で密談しているところなんかも目撃してしまい、なるほどなー細かいなーと感心していました、
アイーダとラダメスの「月の満ちる頃」などの名曲もあるんですが、色んな意味でこのミュージカルを代表する曲は「すごつよ」だと思います。かわいい女官ちゃんたちがひたすらエジプトが強くてすごいことを褒め称える歌。つっよい!すごい!。一回聞いたら頭からはなれない歌。次点はすごつよ派生の「努力しても!ムダムダムダ!」という平和を謳歌する堕落したエジプト市民が歌うやつ。これらと違う意味で代表曲だと(勝手に)思ってるのは、「ファラオの娘だから」で、すごつよとファラオの娘だからが聞ける1幕目でだいたい満足してしまっている自分がいましたが、しかし2幕は2幕で「月の満ちる頃」もあるし、と楽曲的にもいい曲が多くて、結構好きな公演です。
しかし、今回のショーの謎な選曲(主に実咲さんが娘役さん率いて歌うやつ)と謎なテクノ系への編曲は、なんというか、宝塚って攻めるなぁというそんな脱力感を少し感じてしまいした。波状攻撃のようにどんんどん次の出番の人が大階段に並んでくるのはわくわくするんだけど、エチオピアの王女役にそれをもってくるんだ、というかなんというかで(笑)。
いろいろ突っ込みどころはあったものの、自分の見たことのある公演の再演で、いろいろと溢れ出る思いもありましたが総じて楽しかったので良かったです。