公主様のお約束!それはうっかり出逢うこと / 我鳥彩子

本の感想, お気に入り, 作者名 や~わ行・他我鳥彩子

麗鋒国の第一公主・花梨は、自分の縁談が進んでいるという話をききつけいつも通り城下に「家出」を決行する。そこで出会ったのは、道士に術をかけられて昼間は女となってしまう(夜は男に戻る)道楽貴族の楽耀とその従者。楽耀たちを世話しながら隠れ家を点々とする花梨は、楽耀には複雑な事情があると花梨を迎えに来た弟で皇太子の天遊にその妄想を披露するが、母と同じくその妄想は限りなく正解に近かった。

面白かった!

「贅沢な身の上」の子ども世代のお話。雑誌にこれの読み切りバージョンが掲載されていたのですが、読みきりバージョンは今回の文庫版を削りに削った作品、とのこと。読みきりバージョンは私が久しぶりに本誌を買うほど楽しみにするほどの作品だったのですが、これも期待を裏切らずで楽しかったです。

前作を読んでいたらいろいろとニヤニヤできることが多くて(陛下の溺愛ぶりや、宰相閣下のご子息殿の似たような行動など)、その点がすごく楽しいというところももちろんなのですが、今回のヒロインも可愛くて面白かったです。基本的には母親(前作ヒロイン)と同じような道と思考回路で生きていますが、前作とは違い「公主」であることと母に対する若干屈折した思いもあったりして、そのあたりの展開やらお相手さんの反応やらが楽しくて。たまによくある [1]たまになのかどっちなのかはっきりせいと自分で突っ込みましたが、この表現が一番しっくり来る主人公二人が双方(または片方)のどちらに惚れたか全くわからんけど好意を抱くようになったよ!ということもなくて、このあたりの描写も丁寧でさすがだなぁと思いました。
そして今回は前回にない!おねえちゃん好きの弟(皇太子)という要素が!前回は皇帝とその乳兄弟の兄弟成分がありましたが今回はちょっとひねくれたシスコン!楽しかったです。

できれば続きももうちょっと読みたいなぁと考えておりますので、続刊希望です。

公主様のお約束!それはうっかり出逢うこと
我鳥彩子/梶山ミカ
集英社コバルト文庫(2015.07)
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References

1 たまになのかどっちなのかはっきりせいと自分で突っ込みましたが、この表現が一番しっくり来る