王国の調香師 あなただけの香り、お作りします / 仲村つばき

本の感想, 作者名 な行仲村つばき

植物が育ちにくく花が貴重なシュタイン国において、貴重な花を利用して作られる香水は権威の象徴であり貴族の特権であった。そんな中、香水店フロノワを開いた調香師のフェイは一般の市民向けの香水を売り出し人気を得ていた。そこで見習いの調香師として働くリンディールは、昔助けてもらった命の恩人を探すために調香師になることを目指すが、才能がなく失敗の連続の日々を過ごしていた。

ベタながらも恩人探して頑張る女の子っていいものだなぁというお話でした。

デビュー作以前に出来上がっていたという仲村さんの調香師のお話。普通の調香師としては壊滅的に才能がないとうかむしろ爆発させるようなある種の才能を持ってしまったリンディールが、恩人に会うため調香師を目指せして頑張るものもやっぱり爆発させてる姿がもはやコメディの勢いですごかったです。このドジっぷりが私の許容範囲を超えるか超えないかというところだったんですが、話自体は面白くて最後まで踏みとどまれました。普通の香水は無理なものの、(大雑把に)違う才能を発揮して自分のできることをしっかりやるヒロインは頼もしかったです。

リンディールとその親友ちゃんのキャッキャウフフが可愛くていいものだったし、初っ端から恩人はこの人しかないよねぇという(読者にモロバレ、本人全く知らない)状態はすごく楽しく、癖のある悪役もなかなか興味深くで楽しかったです。読み切りかシリーズかはわかりませんが、シリーズ化するのであれば続きも楽しみです。

王国の調香師 あなただけの香り、お作りします
仲村つばき/宵マチ
ビーズログ文庫(2018.03)
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