男装令嬢のクローゼット 白雪の貸衣装屋と、「薔薇」が禁句の伯爵さま。 / 仲村つばき

本の感想, 作者名 な行仲村つばき

没落した元男爵令嬢のネージュは宝石商のセシルに助けられ、彼の援助を受けて庶民向けの貸衣装屋を営んでいた。ある日、ネージュの店に時期伯爵家当主のローズが転がり込んでくる。伯爵家から盗まれた遺品の絵画を探しているというローズの話を聞いたネージュは、ローズの探しものを手伝うことにする。

ローズ(男)が暑かった。

訳あり元男爵令嬢(男物の服を着ていたためローズに男と思われている)と、とにかく熱血なローズのお話。ローズのずれてるんだけど一本筋の通った熱血漢ぶりが楽しいといえば楽しいんですけど、なんというか、暑い。

ローズの捜し物のために、ネージュ主導で「変装」して怪しい集会に乗り込んでいくという展開はなかなか楽しかったんですが、1冊でまとまらないよなぁこれ……と思っていたらなんとなくまとめてしまってしまったところに少々消化不良感を感じてしまいました。胡散臭い宝石商やら(思っていたような人とは違いましたがこれはこれでなかなか美味しいのでは?:好みです)、この人絶対悪役やろうと登場数行で怪しさ全開のローズの兄など、美味しい材料はたくさんあるのに最後の最後に詰め込み過ぎで、決着ついてないのになんとなく付いてるっぽいような終わり方だったのが大層気になるのです……。1冊でも終わっているといえば終わっているところはよい点かもしれないのですが、あと1冊確実にあるよというような展開だったほうがより面白かったような気もします。物語の仕掛け自体は面白いんだけどなぁ。

男装令嬢のクローゼット 白雪の貸衣装屋と、「薔薇」が禁句の伯爵さま。
仲村つばき/夢咲ミル
集英社コバルト文庫(2018.8)
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