ひみつの小説家と葡萄酒の貴公子 / 仲村つばき

本の感想, お気に入り, 作者名 な行仲村つばき

大手製菓会社の社長令嬢フレデリカは、覆面作家「グラール」として性別を隠し大衆小説を発表していたが、同じ覆面作家仲間のセシリアが小説賞を受賞したことに刺激を受け、今までの作風と違う物語を書き上げるが担当編集者の反応は芳しくなかった。そんな中、フレデリカの小説を小説として楽しむのではなく、情報収集の一環として速読しているいけ好かない男を見つけてしまい、思わず喧嘩を売ってしまう。

正真正銘の武闘派ヒロインだった。

ひみつの小説家の偽装結婚 恋の始まりは遺言状!?」のスピンオフ作品。前作ヒロインの親友でライバルであったフレデリカが、いけ好かない御曹司に猛烈なアプローチをかけられるうちに恋をして、小説家としても新たな一歩を踏み出していくというお話でした。
主に(物理的に)強いヒロインが面白かったです。久しぶりにお目にかかった、正真正銘の武闘派なヒロイン。拳で殴り合って(比喩)想いを通わせる展開かと若干心配してしまいましたが、ちゃんと少女小説のヒロインらしい可愛らしい様子があってよかったです。今回のヒーローポジションは「インテリイケメン実業家貴公子」ということで、ヒロインを追いかけ回して外堀埋めていく部分のいやらしい頭脳プレーも楽しかったです。
あとはおまけの短編で前作カップルと今作カップルの微笑ましい遠足のお話もあって、そちらも堪能いたしました!

コバルト文庫がちょこちょこと出し始めた電子オリジナルとのことで、ページ数だけ見てみると(他の紙の本も出てるものとくらべて)少なめかな?というお話だったんですが、少々分量少なめ?でも刊行されるというメリットもあるのかなぁ。最近、コバルト文庫の刊行数が減っていっている中で紙の本で出せなくても電子なら、というところもあるのかもしれないですが、まだまだ紙でも頑張ってほしいな(最近電子しか買ってないですけど……)

ひみつの小説家と葡萄酒の貴公子
仲村つばき/藤ヶ咲
集英社コバルト文庫(2018.08)
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