2002年でおもしろかった本 約10選
本棚目録 / 2001年度版
※順不同、思いついた順※
※基本は一作家一作品※
そのいち
■『真世の王』 / 妹尾ゆふ子
金田榮路(イラスト)・エニックスNovels
なんと言いますか、たぶん2002年一番の(個人的に)大ヒットな作品。
思いの丈はほぼ感想の方で述べているので、改めて言うことはあんまり無いんだけど、とにかく一も二もなくおすすめ。上下巻でボリュームもあり、硬派なファンタジー好きにはたまらない作品だと思います。世界観の設定がこれまたすばらしくて、あの世界での”本”というものの重みにただただ圧倒されるだけでした。
キャラクターも私好みのがんばる女の子や、王子様(タイプ)の青年や、1人で全てを抱え込んで悶々とする青年などこれまたよりどりみどり…。ああ、忘れてならないのは、領主様。いろんな意味で彼はツボ。
【この作者さんので今年度他におもしろかった本】
異次元創世記 赤竜の書 (『真正の王』の少し前の話。これを読むとより楽しめる。入手難)
チェンジリング 赤の誓約
チェンジリング 緑の聖地
そのに
■『ドラゴンの角 遠征王と片翼の女王』 / 高殿円
麻々絵里衣(イラスト) / 角川ビーンズ文庫
ここからしばらく、布教活動にいそしみたいシリーズです。
まずは、これ。高殿円さんの『遠征王』シリーズ。今現在(2003年1月)で残すところあと一冊、というどきどきはらはらの展開です。(本当は、次の巻も読んでいるんですけど、これ書いてる時点では感想書いてません…)
女の人が本当に大好きな男装の女王・アイオリアと愉快な仲間たち、の話のはずが…、クライマックスに近づくにつれてめちゃくちゃシリアスモードです。コメディタッチなのに、実は奥深い。政治や国の思惑が絡まり合い、結構複雑なことになってきております。そして、ここ最近は恋愛ものとしてもなかなか見過ごせない展開に…。オリエとミルザとナリス、愛情だけでなく憎しみまで絡みあった微妙な三角関係にどう決着がつくのでしょうか…。
王宮ファンタジー好きにははずせない一品かと。
【この作者さんので今年度他におすすめ本】
黎明に向かって翔べ (遠征王に実は関係のある一作)
そのさん
■『金色の明日』 甲斐透
桃川春日子(イラスト) / 新書館ウィングス文庫
布教活動第二弾。
ミオーニかわいい!ダニエルかっこいい!
ミオーニのその一生懸命な姿にもうめろめろ!!
これも思いの丈は感想の方で言い尽くしているので、これくらいで…。感想を濃縮しただけですけど(笑)。雑誌掲載作品で、文庫化されたものです。続編も是非とも文庫化してほしいので、これは地道に布教するしかありません(涙)。
とにかく、いたいけな掏摸の少女が明るく元気に前向きにがんばる姿に癒されました。いい話です。
そのよん
■『疾風のアイン アグラファ3』 三浦真奈美
那知上陽子(イラスト) / 中央公論新社 C-Novels Fantasia
男の子の熱き成長物語アグラファ・シリーズ。この物語は2人の主人公がいるのですが、そのうちのひとり・ミオには目を見張るものがあります(穿った見方をすれば、できすぎ、なんですが…。それもまたよし、ということで)。もうひとりの主人公・アインはアインでこれまた結構ハードな人生歩んでいまして、その人生経験からくる懐の深さにアインのすごさを感じます。物語の方も、森の奥深くでの奇襲作戦や海戦など、結構燃えるものがありますので、読んだら最後まで止まりません。
あとは…、シディがかわいいなぁ、ご主人様思いで。やっぱり、こういう少し殺伐とした物語にはキュートな登場人物(?)が必要です。かわいい女の子出てこないかなぁ。
【この作者さんので今年度他におすすめ本】
蒼穹のシディ アグラファ1
閃光のミオ アグラファ2
そのご
■『現は夢、久遠の瞬き』 朝香祥
鈴木理華(イラスト) / 集英社コバルト文庫
個人的に、この年は朝香祥強化年間だった年。色々読んで、『かぜ江』シリーズや『明日香幻想』シリーズなどもかなりお気に入りなんだけど、一冊完結な上に切なさ的にダントツだと思うので、とりあえずこれを挙げておきます。特に、最近読んだと言うこともあるかも知れないけど、これは印象深い。
この作者さんの書く話はたいがいが私のツボにジャストミートな事が多いので、安心して読める作家さんのひとりかな。
【この作者さんので今年度他におすすめ本】←ほぼ全部なので、ちょっとはしょる
約束の時へ(『かぜ江』シリーズ代表)
空蝉の章(『明日香幻想』シリーズ代表)
赫い沙原(『キターブ・アルサール』シリーズ)
蒼い湖水(同上)
夏嵐 〜緋の夢が呼ぶもの〜
そのろく
■『図南の翼』 小野不由美
山田章博(イラスト) / 講談社ホワイトハート
もう一つ、個人的にこの年は十二国記強化年間でもありました。ほぼ一気読みだったからなぁ…。あまりにも有名すぎて今更説明することもあんまり無いんですけど。とにかく、私好みの「強いかっこいい女の子」がわんさかです。あと、「かっこいい渋い中年」や「飄々としているけどやるときはやるかっこいい青年」など、これまたいい感じな登場人物がたくさん(全部かっこいい、かい…)。いろんな国が舞台になっていますけど、個人的に恭国の女王様がプリティーですきなので、図南の翼を挙げておきます。
【この作者さんので今年度他におすすめ本】
風の海 迷宮の岸
東の海神 西の滄海
風の万里 黎明の空
図南の翼
黄昏の岸 暁の空
華胥の幽夢
そのなな
■『夏休みは命がけ!』 とみなが貴和
浅田弘幸(イラスト) / 角川スニーカー庫
熱くて、暑いミステリー。ごく普通の高校生が、普通じゃない幼なじみに振り回されるお話。つぎつぎにおもしろいように事件が起こっていって、一度読んだらノンストップな展開です。タイトルどおり、夏休みに命がけの冒険をする話。夏に読むと臨場感倍増…かも。
とみながさんの書くお話は大好きなんだけど、いかんせん刊行スピードが激遅という弱点が。兼業作家さんだから仕方がないけどね。1年に約1回の楽しみです。
そのはち
■『流血女神伝 砂の覇王9』 須賀しのぶ
船戸明里(イラスト) / 集英社コバルト文庫
砂の覇王シリーズに決着がつきました。9巻目はクライマックスにふさわしく、すごいことになってしましました。『帝国の娘』や『砂の覇王』初期の時点で、誰がこんな結末を予測できたでしょうか…。神様の超常の力の翻弄されつつも、自分の道を歩もうとするカリエのたくましさに脱帽。エドとかミュカとか、私が好きであるキャラ程影が薄くなっていくのも別に気にならないわ(笑)。
あ、外伝早く読まなくては。
【この作者さんので今年度他におすすめ本】
砂の覇王6
砂の覇王7
砂の覇王8
そのきゅう
■『ハーツ ひとつだけうそがある』 松井千尋
密村ハル(イラスト) / 集英社コバルト文庫
これも思いの丈は感想文で言い尽くしてしまってますねぇ。松井さんの作品は、少し切なくて、よい具合にコバルト文庫だと思います。他に、『目覚める夜と三つの夢の迷宮』も初のファンタジーだと思うのだけど、すごく不思議な雰囲気に包まれていて、ああ、いいな、って思うようなお話たちだった。
【この作者さんので今年度他におすすめ本】
めざめる夜と三つの夢の迷宮
犬が来ました 〜ウェルカム・ミスター・エカリタン〜
そのじゅう
■『東方ウィッチクラフト 垣根の上の人』 竹岡葉月
飯田晴子(イラスト) / 集英社コバルト文庫
これも、全6巻完結しました。で、この時点で最終巻の感想まだ書いていませんが、まあ、完結したと言うことで。
魔女といえば女の人、という固定観念を打ち破り、この物語のメインの魔女は滋賀柾季(高1)と、その使い魔になってしまった柾季に憧れる少女観凪一子(中3)。なかなかハードな題材を取り扱いつつも、なぜか基本はハイテンションコメディーなので笑えます。なにはともあれ、読んでいて楽しい本だったので、よかった。
【この作者さんので今年度他におすすめ本】
東方ウィッチクラフトシリーズ
螺旋舞踏
願え箒の星に
神様はダイスを振らない
彼女は永遠の森で
人の望みの喜びを
次点(シリーズ物は、その一番新しいものを。読んだ日順)
野田麻生 『A戦場のプリンセス』
紗々亜璃須 『紅の鳥 銀の麒麟 下』
はすなみ透也 『薔薇の泥棒と宝石の王女』
今野緒雪 『マリア様がみてる パラソルをさして』
中井由希恵 『サン・フロリアヌスの騎士〜狙われた花嫁〜』
喬林知 『きっとマのつく陽が昇る!』
橘香いくの 『精霊の歌う夜 サンク・ヴェリテの恋人たち』
ヴィクトリア・ハンリー 『水晶玉と伝説の剣』
駒崎優 『ダルリアッド 野望の果て』
紫宮葵 『カフェス幻想 帝王の鳥かご』
菅野彰 『海馬が耳から駆けてゆく 1』
谷瑞恵 『魔女の結婚 永遠の夢見る園へ』
高瀬美恵 『ペルガモンズ・エンジェル!』
樹川さとみ 『楽園の魔女たち〜天使のふりこ〜』
佐藤ちあき 『ワイルド・カード 憂鬱な怪盗たち』
榎木洋子 『緑のアルダ 石占の娘』
榛名しおり 『レーヌスを渡る金狼 ゲルマーニア伝奇』
■まとめ
去年とメンツはほとんど変わらず。似たりよったり一直線。日々偏った読書遍歴を歩んでおります。こうして並べてみると、自分の好みという物がはっきりしてきてそれはそれでおもしろい。また来年も同じような感じになって終わりかなぁ。成長のない人間だ。
…、他に学術新書とかでおもしろいもん(興味深いの?)も何冊かあったけど、あれ感想書きにくいし、何よりウチのサイトの趣旨から大きく外れるので割愛。
以上