グランドマスター! 残された神の郷 / 樹川さとみ

本の感想, 作者名 か行樹川さとみ

本部の帰還命令を無視し、世直しの旅を続けるシアシーカ率いる<黎明の使節団>の選抜メンバーは温泉を目指し山の中を進んでいた。山の中には異教を信仰する村が存在し、一行は武装した村人にとらえられてしまう。


天然変態姫総長シアシーカと苦労人武人ハルセデスが繰り広げるラブコメかもしれない(といったらハルさんが切れそうですが)の珍道中物語・グランドマスター!第四巻。話としては根幹部分にかかわる前進はなく閑話休題的な面が強かったのだけれども、異教の巫女とシーカとのやりとりから伺えるシーカの背負うものの大きさなどが少し明かされたお話でした。

念願の温泉にはなかなか入れないシーカでしたが、やはり基本はマイペースなのでそれに振り回される面々や村長などが面白いです。悟りを開いた感のあるハルさんとの絶妙なやりとりもいいなぁ。もう熟練夫婦の域に到達しているような気もしてきました。ハルさん、嫌々ながらもシーカをきちんとつかんでますよ。騒動の中心からは少し外れていた使節団の選抜外メンバーでしたが、しかし出番が少ない割には目立っていた日中女騎士と女好きがすごいです。日中女騎士は結構好きなので今後の活躍に期待。
そして温泉では、予想はしてたけど。やっぱり割を食うのはあの人で、最後の最後でニヤニヤです。

シーカの背負うものが少しずつ示され始めたとはいえ、やはり読者にとってもハルさんにとっても謎が多くこの人はどこまでハルさんに明かすつもりがあるんだろうかと少し心配になってしまいます。大事なところで秘密主義ですからね。普段ぬらりひょんなくせに、とっくの昔に覚悟を決めていると思われるシーカですが、今後ぶつかる難問にどう立ち向かっていくのか楽しみです。

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グランドマスター!のこされた神の郷
樹川さとみ/松本テマリ
集英社コバルト文庫(2008.07)
ISBN:978-4-08-601187-7
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