グランドマスター!刻まれた聖痕 / 樹川さとみ

本の感想, 作者名 か行樹川さとみ

法皇との謁見中、謎の竜巻が発生し<黎明の使節団>は離散してしまう。ハルセイデスが残した言葉を胸に、家に帰るもの、旅を続けるものとそれぞれの道を進む団員達。一方、邪神の復活を目指す謎の勢力も着々とシーカへの包囲網を狭めていた。

ヒルダさんに惚れざるを得ない。

グランドマスター!第9巻。最後のクライマックスに向けての準備編といったところかな。
法皇との謁見時に起きた事故(事件)でバラバラになった使節団の面々がそれぞれの旅を始めるお話です。個人的には美少年会計レイヴェ君が無事旅を始められるのかという心配がありますが、それ以外には良識派故にバックグラウンドがあまり語られることのなかったお父さんシンドー氏に光があったっていたのが良かったなぁ。お父さん、かっこいい。
それぞれの旅と言えば、今回のメインは「アスティル閣下とヒルダさん」の閣下の解呪の手がかりを求める旅でしたが、ヒルダさんが格好良すぎてどうしようかと思いました。完全に尻に敷かれているアスティル閣下とヒルダさんの男気が面白かったです。蚊帳の外気味だった閣下もずいぶんときな臭いことに巻き込まれてしまい、今後の活躍にとても期待です。

そして今回何か物足りないな、と思ったらシーカがシリアスモードに入っていたから変態オヤジ分が足りなかったんだ!端々のシーカ分(日記帳、刺繍入りのアレ)には思わずクスリときましたが、やっぱり彼女の黄金の右手が炸裂しないと……なんだか物足りない。世間の目を欺くために新婚のふりをするシーカとハルさんのとても涎のでる場面もさらっと数ページで流されてしまったことに落胆を隠せませんが、ここをさらっと終わらせてしまうところが樹川さんのいいところだなぁと思ったりも。
使節団の面々がいつ合流するのかとかいろんなことの続きが楽しみです。

imgグランドマスター!刻まれた聖痕
樹川さとみ/松本テマリ
集英社コバルト文庫(2010.02)
ISBN:978-4-08-601377-2
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