死が二人を分かつまで4 / 前田栄

本の感想, 作者名 ま行前田栄

全てのヴァンパイアに敬われているという『始まりの御方』の招きを受け、ヘンリーにヴァンパイアの国である『根の国』に連れて行ってもらったミカエラと『J・C』、そしてウォルフに連行される形となったカールは、御方から世界の秘密を聞く。そして、エリオットの約定破りの始末の方法を決めるためにエリオットとカールが戦うという方法が御方より提案され、カールはエリオットと最後の決戦に臨むこととなる。


いつものことながら上記あらすじの整理がついていませんが、『死が二人を分かつまで』シリーズの最終巻。御方に会うあたりから急にとても壮大な話になっていき(予想もつかない展開)、根の国ではあれよあれよという間にカールとエリオットの最終決戦の場が整えられていきました。これは私にとっては新しいヴァンパイア像だなー、すごく納得で新鮮でした(ヴァンパイアものを好んで読むわけではないので、少なくとも今まで読んだ中でこの設定はなかった)。
そして一方の人間の世では、『J・C』とヘルシング一族の問題にも一応の決着がつきました。ヘルシングというだけで重々しくてとても強大な敵っぽかったのに三下以下に成り下がっていたのはちょっと残念です。
カールとエリオットの因縁の対決については、まさしく「死が二人を分かつまで」の結末。ここまでの展開からしてこの終わり方しかなかったとは思うのですが、なんだかもの悲しいですね。

と湿っぽくなって終わるのもなんなんで最後にアホな感想を書いておきます。ウォルフからミカエラへの想いの報われなさっぷりには最後まで笑いました。最後の最後まで報われないのも珍しいですが、いつミカエラが気付くのかなぁととても心配になります。そして『J・C』とヘンリーの紆余曲折組み合わせにも思わずニヤリとしてしまいました。丸くなったヘンリーというか、丸くなって吹っ切れた『J・C』はよいですね……。最後の最後までいろんな意味で「最強」なミカエラの存在は本当に大きかったですね。

死が二人を分かつまで4
前田栄/ねぎしきょうこ
新書館ウィングス文庫(2008.09)
ISBN:978-4-403-54128-5
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