テンペスト / 池上永一

本の感想, 作者名 あ行池上永一

孫家の真鶴は勉強が苦手な兄に代わり、宦官の「寧温」と性別を偽り琉球の宮廷に乗り込んだ。激動の時代の中、日本と清という二つの国の間で綱渡り外交を続ける琉球宮廷で型破りな政策を次々と打ち出す寧温には敵も多く、一筋縄ではいかない日々をすごしていた。


分厚いハードカバー、二段組みで上下巻読み切りました(達成感)。普段ハードカバーを読まないんで感想も書きませんが、せっかくなのでちょこっと感想を。家でおこもりしていた時に読んだので2日で読み切れましたが……普通の時ならたぶん無理だろうなぁこのボリューム。一気読みしすぎて頭痛がしてました(慣れないことはするものではない)。

読んだ理由はもういろいろお察しかと思われますが、「男装の麗人が宮廷で活躍する話」と聞いたからに決まっているではありませんか。官吏モードの寧温(真鶴)がもう超有能パーフェクト人間過ぎてちょっと胸焼けしそうになりましたが……男装の麗人なので!(何でも許せるらしい) しかしあの上巻のラスボスだけはちょっといただけないというかやり過ぎというか気持ち悪いというか……うんまあ流し読みです。
真鶴の人生がそんじょそこらのジェットコースター人生よりもすごくてとにかくその展開のすごさに唖然でした。宦官から始まり島流しに側室に二足のわらじに潜伏生活って、各種取りそろえております状態。真鶴と寧温の主導権をめぐる争いもなかなかに圧巻。そしてジェットコースター人生といえば、真鶴のライバル(?)の聞得大王・真牛様。まさかここまで活躍されるとは思ってみませんでした。ええと、あと真美那お嬢様がとても好きですかっこいい。男性陣ではいろいろあちゃーな事をしつつも一生懸命なので憎めないお兄ちゃんがよいですね。あと、ライバルの朝薫も結構好きなんだけどなぁ……報われないなぁ彼……。

斜陽の琉球が舞台なので最後の方はあの展開はしょうがないというか納得なんですが、なんかちょっともったいない気がしてしまいました。あそこまで活躍してたのに、という思いがどうしてもあります、が総じて展開がとてもスリリングでどうなるか予想も付かなくとても楽しめました。

img テンペスト(上・下)
池上永一
角川書店(2008.08)
ISBN:978-4-04-873868-2 / 978-4-04-873869-9
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