海鳴の花嫁 玻璃暗涙 / 森崎朝香

本の感想, 作者名 ま行森崎朝香

亥国の第一公主巴璃は、公主でありながら神に仕える巫女として、神殿で暮らす日々を送っていた。「地の人と結ばれると国を滅ぼす」という予言から、兄王への想いを心に秘める巴璃。一方、巴璃のもう一人の兄である第二公子は異国で得た妻子を捨てて、母国で初恋を成就させてしまう。やがて、この事件が元で国の存亡にかかわる事態が発生し……


花嫁シリーズ最新作。切ない、切なすぎる!花嫁分がとても足りない花嫁を!

というようなお話でした。主人公の巴璃公主は責任感が強く自分のやるべき事を理解し、必死に感情を抑えるという、読んでいてとても感心するほど健気な公主。一方のお兄ちゃん王は普通に格好良くて、王様としてもかなり有能で妹思いのいいお兄ちゃん。そして不吉な予言があるために結ばれる事のないこの二人……ととても王道な展開ですばらしいんですが。いかんせん兄妹モノは全くテンションあがらないので困りました。……苦手なんだ(血のつながった)兄妹モノ。王家の正統性を維持するために王様だけに認められている婚姻とはいえ、いや、まあ、なんというか。
それ以外の所はこの二人の組み合わせ好きだし、もう一つの恋物語である第二公子の恋物語と対比させるといいかなぁと思うんですが(第二公子のアレはああ?とちょっとむずむずしたので余計に)。

きれいに他のシリーズとつながったラストに是非ともアレを再読せねば!と思う程度に堪能できました。ストーリー展開から切ないエンディングであることは覚悟していたし、なんというか、王道的にも外していなくてどちらかというと好きな部類ですが花嫁分が足りないことは不満(笑)。後書きに今までのシリーズの時系列があるので読み返すのもいいなぁ。かなりの高確率で切ないけど……(明確にハッピーエンドって……二作?)

海鳴の花嫁
森崎朝香/明咲トウル
講談社X文庫ホワイトハート(2009.05)
ISBN:978-4-06-286591-3
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