秋霖の花嫁 香霧想起 / 森崎朝香

本の感想, 作者名 ま行森崎朝香

目が覚めたとき、自分の名前すら思い出せず完全な記憶喪失となった曄香。曄香を婚約者だという有力な領主の息子・秋里に壊れ物を扱うかのように大事にされる曄香だが、屋敷の奥で秋里の婚約者として使用人にかしずかれる生活に違和感を覚える。そしてある日、秋里の婚約者を名乗る亡国の公主が曄香の前に現れ……

おめでとさん!という感想でひとつ。

花嫁シリーズの(たぶん)11冊目。ヒロインにめろめろの貴族のおぼっちゃんと、記憶を失ったヒロインのラブストーリー。前作の直後?位の設定なので、あるところで「彼女」たちの話がでてきたときはちょっとうれしくなってしまいました。

さて、お話はとてもとてもオーソドックスな記憶喪失モノ。青年の婚約者として扱われるが本当にこれでいいのかと悩むヒロインと、今度こそ彼女を失いたくないと過保護すぎる青年の不器用さがごちそうさまです。個人的には、過去の二人の軽快なやりとりといいますか、化けの皮がはがれる青年とヒロイン、傲慢vs健気のバトルがツボでした。ラストはラストでごちそうさまーとしか言いようのない幕引きで……よい記憶喪失モノでした。落とし方はそんなあっさり!とか思わなくもないですが、すれ違いっぷりが良かったので相殺です。

img秋霖の花嫁 香霧想起
森崎朝香/明咲トウル
講談社X文庫ホワイトハート(2010.04)
ISBN:978-4-06-286640-8
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