ペテン師一山400円 / 嬉野君

本の感想, お気に入り, 作者名 あ行嬉野君

曾祖母フサの危篤の知らせを受け、一人旅気分で祖母を勘当したという雲出家を単身訪れた純太。かなりの資産家だというフサの財産を狙い、親戚一同が集まる中、遺産相続の条件として挙げられたのは「雲出家流のやり方で、目標金額を稼ぐ」こと。純太は初対面の親戚のお兄さん研士と共に400円を元手に夏休み中に2,000万円を詐欺で稼ぐというゲームに参加することになる。


おもしろかった!雑誌掲載分+書き下ろしの二話収録。どっちも最後はあっと驚く展開でやられた!という気分でした。

ナニーのように「変」なお話ではなかったのだけど、見事の詐欺の手管とフサばあちゃんの強烈な大正モダンガールぶりがすばらしかった!詐欺の世界とは全くかけ離れた生活を送っていた純太が徐々に鍛えられていく姿は、ある種の成長モノでもあるような気がします。研士のさわやかなうさんくささとか、ツンデレおじさんがデレるところとか(ここは思わずキュンとなった!)とか、雲出家女性陣の最強ぶりとかいろいろむふふと楽しめるところ満載で面白かったなぁ。
きれいに終わっているといえば終わっているんだけど、雲出家のパワフルさがとても楽しかったので続きがでても……うれしいかもしれない。

そういえば、犯罪物語は苦手なんですが、私が苦手なのはバイオレンスモノであって詐欺モノは好きだということに気付きました。そういや、映画のスティング(リンク先、下の方に映画の詳細ストーリーあるため注意)もかなり好きだ。ちゃららちゃらっちゃらちゃらーと読了後にスティングのテーマ曲が脳内を駆けめぐりすぎました。

imgペテン師一山400円
嬉野君/夏目イサク
新書館ウィングス文庫(2009.05)
ISBN:978-4-403-54138-4
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