金星特急・番外編 花を追う旅 / 嬉野君

本の感想, お気に入り, 作者名 あ行嬉野君

金星特急の旅から8年後、錆丸は金星との間にできた娘・桜とともに横浜で錆丸の養父母と暮らしていた。母を求める桜に母のことを伝えるため、錆丸は夏休みに桜をユースタスと砂鉄に預け、錆丸たちがが8年前にたどった旅程をたどることを依頼する。そして錆丸は、夏草と三月とともにある場所に向かっていた。

読めば旅に行きたくなるシリーズ・金星特急の威力は相変わらずでした(今とても旅がしたい)

今月続編が刊行した「金星特急」の、本編(?)の錆丸の物語と続編の桜の物語(あらすじ読む限り主役は桜と推測)をつなぐ一冊。桜と錆丸と過保護な伯父たち(3人)のちょっとした日常を描いたお話と、桜がユースタスと砂鉄と旅するお話と、錆丸が夏草と三月と旅するお話に、グラナダのアルハンブラ宮殿での錆丸と桜とユースタスと砂鉄のお話、そして桜が持つ「力」のお話と、緩から始まって徐々に急に持っていく構成で楽しかったです。過保護な伯父さんたちの話だけなら、本編終了後のボーナス・トラック~とのんびり楽しんでいたところですが、過去の旅路をたどるあたりからだんだん次への準備らしきものが始まって、そして最後の以下続刊をまて!の締め方に、続刊刊行のちょっと前に読んで良かったと思いました[1] … Continue reading

今回はちょっと一息、の面もあるのでみんな8年経って丸くなったなぁ(特に砂鉄)と妙な感動を覚えてしまいました。本編同様内容はハードなんですが(それぞれ複雑な家庭環境・出自のため)、過去は過去として、今は信頼できる仲間や家族たちとともにある、というのがいいなぁとしみじみとしてしまいました。

で、続編続編!と続編のあらすじ(書店サイトのあらすじはもうちょっと詳しいです)を今回初めて確認したところ、だいぶ不穏なんですけど!桜ちゃん横浜で育ったのじゃないの?これは絶対鎖様がいろいろなんかしてる!とめちゃくちゃ面白そうなので正座して待機しておこうと思います。

金星特急・番外編 花を追う旅
嬉野君/高山しのぶ
新書館ウィングス文庫(2020.06)
amazon/honto/BOOKWALKER

References

1 当初の予定ではこのままタイムラグあんまりない状態で続編を読むつもりだったんですが(続編は3月発売)、なんと電子版は4月発売らしいのでもうしばらくお預けです。無念。