石霊と氷姫(下) / 西魚リツコ

本の感想, 作者名 な行西魚リツコ

売られた先から逃げ込んだ王宮で、公子の毒殺事件に巻き込まれたアル。「氷姫」の助力を得て殺しの濡れ衣を着せられた人馬族の第二王子タージボーグとアルは王宮から逃げ出し、『牙高原』を目指す。一方、テオはリーサイオンとともに、タージボーグのために挙兵した人馬族の侵攻を食い止めるため、『牙高原』を目指していた。

油断ならないジェットコースターぶりでした。

先が読めず、「だ ま さ れ た!」(とある人に)と、事件の真相を知ったときに思わず唸ってしまった下巻。深読みしない読者なので全く悔しくなくなるほどーと感心しましたが、このだまされ感がきもちよかったです。

ジェットコースター展開の上にどんどんどんどん話が進んでいくので、上中下の三分冊くらいでじっくり読んでみたかったかも!とか、アルが騙り屋の見事なお手並みでもっと活躍してほしかった!とか(終盤はある人の手の上で踊らされていただけ感もなきにしもあらず)思うところはありますが、全般的にはとても楽しめました。

……が、テオとアルの落ち着き先にはちょっと疑問が。基本的に私がおさなじみズキーでいろいろ期待していたというのは置いておいてですよ、え、いつの間に?という部分があったのでちょっと消化不良。いや、このコンビもとても好きなんだけど。陰謀面も含め、ここら辺のことも考えるとやっぱり上中下の三分冊で(略)。

img石霊と氷姫(下)
西魚リツコ/NA2
幻狼ファンタジアノベルズ(2010.03)
ISBN:978-4-344-8189-2
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