ヴィクトリアン・ローズ・テーラー 恋のドレスと湖の恋人 / 青木祐子

本の感想, 作者名 あ行青木祐子

スコットランドのマクダフ城を脱出したクリスとシャーリーは、ある田舎町の宿に身を隠す。久しぶりにゆっくりとふたりの時間を過ごすクリスとシャーリーに対して、クリス不在の薔薇色を守るパメラの前に、行方しれずになっていたリンダが現れ……

アントニーが今回も素晴らしい。

前回が「動」の物語なら、今回は「静」のシリーズ最新刊。とにかくラブ増量!ということでしたのでなんだかいろいろひぇーっと思いながら読んでしまいましたよ、シャーリーってやっぱり乙女。これでもかって言うくらいラブだったので、この先待ちかまえるビターな展開が怖いです、いやでも大丈夫かな?もうこれ以上すれ違うことはさすがに……。
このふたりをせっつくんだか温かく見守るんだか、空気を読まずに従者のつとめを果たすアントニー君が毎度ながらに最高でした。クリスに対しての懇願も、シャーリーに対しての強気の発言も!得難い人物です。

もう一つの山場といえば、アイリスの告白。作者さんがしばらくの間書きためておられたのを一挙公開とばかりに語られる、アイリスから見た事件の真相とアイリスの想い。とにかく圧倒されたのは確かで、愛憎は紙一重だと一方で……なんといいますか、こういうゆがんだ愛情というかなんというかは非常に苦手なので……うん、これがあってこそのこのシリーズだとは分かっているんですけど(とぐるぐるととりとめのないことを考えつつ)。

パメラ回りも気になるので続きも楽しみです。アントニーがんばれ、超がんばれ。

imgヴィクトリアン・ローズ・テーラー 恋のドレスと湖の恋人
青木祐子/あき
集英社コバルト文庫(2010.11)
bk1/amazon