上海恋茶館 待ちぼうけのダージリン / 青木祐子

本の感想, 作者名 あ行青木祐子

上海租界に住むミルドレッド商会の令嬢リリアは、半年前に両親が行方不明となるが周囲に支えられながら、両親の帰りを待っていた。そんな中、イギリスからリリアの従兄ライオネルが婚約者だと主張し上海にやって来る。結婚話を回避するため、リリアの恋人役に仕立てあげられたのは、日本から上海に「逃げて」来た楠木龍之介だった。

フェイさんがオトコマエ。

20世紀初頭の上海租界を舞台に、お茶を愛する商家の令嬢リリアと、なんのかんので上海に落ち着いてしまっているいいとこの子らしい龍之介の物語。ひ、ヒーローが女慣れしてる!(女なんか懲り懲りといいつつリリアに恋し始めたりと、ようわからん男ですが。恋心は止められないってやつですかね)ヒロインが天然と見せかけて実はやり手!そしてヒロインの守護者のフェイさんが、いいところで全てをかっさらって!といろいろ興味深かったです。フェイの守護者、というポジションがわかったようなわからないようなだったんですが……護衛役じゃないし、かといって同等でもないし。
対する今回の悪役ライオネルは、ちょっとくらい骨があるのかと思えば清々しいほどの小物っぷりにいっそあっぱれ、と。1巻目というところもあり、軽めにしておいたのかな?

上海租界の海千山千のタヌキたちとリリアがどう張り合っていくのか、ちょっと楽しみだな。

上海恋茶館 待ちぼうけのダージリン
青木祐子/サカノ景子
集英社コバルト文庫(2012.05)
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