これは経費で落ちません!5~落としてください森若さん~ / 青木祐子

本の感想, 作者名 あ行青木祐子

経理部に異動してきたばかりでなれない業務に四苦八苦している真夕は、追いかけているビジュアル系バンドのライブを楽しみに日々の業務を乗り切っていた。件のバンドも参加するという打ち上げへに誘われていた真夕だが、よりにもよってライブ当日の仕事でミスをしてしまい……『佐々木真夕 初恋アレッサンドロ』

真夕ちゃんがこのシリーズのオアシスであることがはっきりわかったスピンオフでした……。

今までの本編(森若さん視点)のお話やその後のお話のいくつかが当事者の目線から語られるスピンオフの番外編。経理部の真夕ちゃんと、謎の営業部員、人事部の女性、企画部の女性、そしてもうひとりの経理部のエース・勇太郎のお話。本編はあくまで森若さん視点なので森若さんが把握している背景以外がよくわからなくてもやもやっとしていたところが、なるほどそうだったのか~というところも多くて、違う視点から読めて面白かったです。特に、人事部の人のお話と、勇太郎さんのお話はなるほど、といろいろ納得。勇太郎さんは、んんんんこれでいいの?森若さんが図らずしも所持している「爆弾」で最後はなんかうまいこと丸く収まる気もするけどんんんん(もやもや)というところがあるんですが、まあお話の中の話なので!あとは森若さん視点じゃないと感情の振れ幅大きくて読むのが結構忙しいな(とくに、企画部の女性の話)と若干疲弊しながら読んでいました。

どこにでもありそうな(あったら嫌だけど)会社のお話なので妙にリアリティがあって、完全にファンタジー(創作)として現実世界と切り離して読めてないので、こんな人間関係いやだーとかこんな細かい不正が続出する会社嫌だーとかもやもやしながら読んでいるため(でも面白い)、心身ともに問題ないときしか読めないシリーズではありますが、楽しんでおります。このなんともいえない「もやもや感」はコバルト文庫時代のときからのこの作者さんの味ではあるとは思っているのですが、ある程度の気合を入れないと読み始められないというなんとも悩ましいシリーズでもあります。

これは経費で落ちません!5~落としてください森若さん~
青木祐子
集英社オレンジ文庫(2019.02)
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