ミスティーレッド はざまの街と恋する預言者 / 青木祐子

本の感想, 作者名 あ行青木祐子

ヴェルヘル王国の第一王子レッドは家庭教師のリリーベルとともに、とある理由から故国を逃亡してフランスのアーブルに向かった。そこでリリーベルはレッドの予言に従い、レッドと面識があるというベルギーの姫君エレーナに接触を試みるが……

なんとも不思議な雰囲気のお話でした。

一身上の都合で(わりとのんびりした)逃亡生活を送る王子様レッドとその家庭教師リリーベルが、フランスの田舎町でとある騒動、といいますか事件にかかわるお話。

レッドの予言は彼にある場面のイメージをもたらすもの。そのイメージを無口な彼なりにリリーベルに伝え、それに基づいて行動力溢れるリリーベルが四苦八苦しながら予言の場面に近付こうとする……というリリーベルの奮闘ぶりがある意味スリルに満ちてました。リリーベルとレッドの姉弟以上にも思える互いを思いやる気持ちが端々に見られ、ほんわかしてしまいましたが……レッドはリリーベルのこと、好きですよねぇ。リリーベルはそういう感情は持ってないというかむしろ疎そうなので、レッドは今後無表情に苦労しそう。
しかし、個人的にはリリーベルとレッド組以上にアーブル住人組の方が気になったり。マリーお嬢様、好きなタイプだ……!

今回のゲストキャラ(と思われる)エレーナ姫関係の顛末は、決着の付け方がちょっと予想外でいい意味で裏切られました。やっぱりいつの時代も強いのは女の子、ですね。

imgミスティーレッド はざまの街と恋する預言者
青木祐子/鐘乃悠可
集英社コバルト文庫(2010.10)
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