姫君返上!―聖母に焦がれた者― / 和泉統子
アレクが非常にお世話になっている藤花選帝候国で「悪魔」が出現したという話をなぜか帝都にいたノエルに聞いたアレクは、選定侯会議絡みで多忙な異母兄に内緒でノエルと共に事態の収拾に向かう。しかし、藤花選帝候国都の大司教らはアレク達に協力してくれず……(「聖母に焦がれた者」)
ノエルのラブコメはやっぱり最高。
雑誌連載分の「聖母に焦がれた者」、前巻でめでたく婚約したノエルとギィの直後の様子を描いた書き下ろしの「婚約、翌日。」、そしてサイト掲載のプロモーションの話に大幅加筆修正の「天然詐欺師?」の三編収録。
連載分はいつも通り軽いノリながらも重たいところをざっくり描いたお話で、いろいろとしんみりとしてしまいました。どれだけしっかりしたよい治世者でも、むしろ善政を敷く人だからこそ抱えてしまう心の闇、そしてそれに手をさしのべるアレクが立派と言いますか、さすがアレクだな、と、
そして書き下ろしのラブコメが、これまた最高。恋する乙女の謎の暴走と、ちょっと意地悪なギィに大変ニヤニヤしました。いいぞもっとやれー。最後の詐欺師のお話は、アレクとジークの(実質的な)出会いの話とどれだけアレクとジークが人タラシか、というところを描いていてこれまた楽しかったです。ジーク、昔から腹黒だな……。