身代わり花嫁と公爵の事情 / 奥山鏡

本の感想, 作者名 あ行奥山鏡

嫁ぎ先の公爵家に向かう途中で「結婚式には戻る」という手紙を残し姿をくらました双子の姉アニスに変わり、結婚式前日までアニスのふりをすることになったフラン。女性嫌いだという(姉の)婚約者の仰天宣言を聞いてしまったフランだが、姉が嫁ぐまでになんとかいい関係を築こうと持ち前の人の良さで公爵との距離を縮めていくが……

変化球ながらも面白かったんだけど、だけど!

ちょっと一筋縄ではいかないな、という「身代わり花嫁」ものと、その次の世代のお話の二本収録のデビュー作。どちらかと言わなくてもコメディタッチのお話で、かなり好きな部類のお話で、両方共とても楽しめました。
一作目のパワフルなお姉ちゃんが面白くて、健気な弟もおもしろくて、公爵様も実は結構面白くてといろいろ美味しかったんですが、個人的には二作目のかなり愉快な「公爵様」とその使用人たち(というか執事)がツボでした。レイモンダ公爵様、おもしろすぎる…そしてうかつ(笑)。一作目の「アレ」があるだけに、もしそうだったらどうしよう!とある意味ドキドキで読んでたんですが、素敵なハッピーエンドでよきかなよきかな。

私基準では非常に楽しめたんですが、楽しめたんですが!少女小説的に万人におすすめできるかというと、非常にコメントに困ります!(とくに一本目)。人によっては(たぶん)地雷だなぁ、これ(というオチ、なんですよねぇ…二作目で語られるご様子もそんな感じだし)。しかしながら個人的には気に入りました。次の作品も楽しみ。

img身代わり花嫁と公爵の事情
奥山鏡/夏乃あゆみ
新書館ウィングス文庫(2011.10)
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