テキトー王子、結ばれる!(九人)。 / 汐見まゆき

本の感想, 作者名 さ行汐見まゆき

クレーエの戴冠を目前にし、なかなかまとまらない宮廷を何とかしようと、リヒトとミヒャエルは田舎に引っ込んでしまった「ブタ」と「カボチャ」と呼ばれる前女王の側近を呼び戻すために、手分けして二人のもとを訪れる。前女王以外に仕える気のない二人の説得にあぐねるリヒトに、ミヒャエルが行方不明になったという一方が入る。

これもひとつの家族の形。

テキトー王子の最終巻。クレーエの即位により「後見人」としての立場をなくしたリヒトが実家に戻されてしまうという事態に、子供たちがあの手この手で引きとめようとし、そして最終的にはは力業で……と予想外の展開で最後はええええ!と。最初からわりとハチャメチャな展開だったので、これはこれでありかなぁと思いつつ、期待していた方向とだいぶ違う方向に進んでいったなぁと、なにやら感慨深く。そんな中、子供たちとおとーさんのそれぞれの「最後」のやり取りが結構好みでした。特に愚息。そして長女。愚息とのやり取りにキュンとなったのは多分私だけじゃないと思うよ、思いたい。更に、もう一人の「家族」の最強従者とのやり取りにもきゅんとなりました。こういう腹心はいいものだ………。

ドタバタハチャメチャで一気にどっと楽しめるシリーズだったなぁと思います。味のあるキャラクターが楽しかったので、次回作も楽しみです。

テキトー王子、結ばれる!(九人)。
汐見まゆき/松本テマリ
ビーズログ文庫(2012.10)
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