おいしい妖精の愛し方 / 古戸マチコ

本の感想, 作者名 か行古戸マチコ

海女兼観光案内人の大食らいの少女ミリアは、幼馴染のライが作る料理が世界で一番好き。島民たちにも愛されて<迷子島>でのんびり暮らしていたミリアだったが、海の中で偶然見つけた「女神像」の呪いにかかり、ありとあらゆる男性にもてまくるという状況に直面してしまう。迷子島ではミリアを「妖精」として売りだし、島の活性化を図ろうとするが……

ライの料理がどれもこれも美味しそうで……(空腹時に読めません)。

異世界ファンタジーのお話かな、と思っていたら、「ちょっと昔の地中海っぽいところにある島を舞台」にした、日常の中に巻き起こる「不思議」物語、というような位置付けのお話でした。食欲大魔神の女の子と、彼女の胃袋をがっちり掴んだ幼馴染のなんともじれったい恋物語……なんですけど、ストレートに恋物語というのは、なんだか違う気がする。ギリギリのところを攻めてくるな!とか、表裏一体だな!とか、全体的にロマンチックなはずなのにどことなく表現がロマンチックになりきれてないな!とか、そんなところらへんに。まー、たしかに、おいしい妖精の話でしたね。

個人的にはライの自称親友君の妙なノリの良さが素敵だなぁ、と思いました。彼が直面した現実に打ちひしがれ、そしてその現実をのりこえて行こうとするであろう物語の終わりのその後に期待したいな、と思えるところが好きです。

おいしい妖精の愛し方
古戸マチコ/さとい
イースト・プレス(2012.09)
amazon/honto