鬼舞 見習い陰陽師と悪鬼の暗躍 / 瀬川貴次

本の感想, 作者名 さ行瀬川貴次

右近の少将が鬼たちに利用されていることを知った道冬は、しばらくの間宇治に避難するという少将の護衛のために行近とともに都を離れた。怪我の養生を兼ねて道冬の家の留守を守ると都に守ることにした吉昌だが、融の大臣や付喪神達の熱意に負けて少将らの後を追うことになる。

た、たたみ……

シリーズ7巻目。都を恐怖に陥れている鬼の一行に動きがあったり、道冬の力の謎の一端があかされたり、吉昌が絶好調のお兄ちゃんに辟易としたりといろいろ見どころがあったのに、それをすべてかすませてしまうほどの!畳の!ヒロイン力!昼ドラもびっくりな修羅場!愛憎劇!ドロドロ!畳なのに!

行近と道冬の関係など、読みどころは各所にあったのですけど、畳の前ではそれすらも前座に過ぎません。もうなにこの子……。まさかここまで畳のヒロイン力に感動することになるとは思わなかったです。冗談抜きで道冬に人間の恋人ができるとは思えない(畳に呪われそう)。

本筋の方も若干ホラー的な展開になってまいりましたが(※怖いの苦手なのでちょっとでもグロい描写があるとホラー認定)、畳の今後と話の展開が楽しみです。

鬼舞 見習い陰陽師と悪鬼の暗躍
瀬川貴次/星野和夏子
集英社コバルト文庫(2012.10)
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