金星特急・外伝 / 嬉野君

本の感想, お気に入り, 作者名 あ行嬉野君

最後の「金星特急」から6年、あのとき「金星堂」に集められた少女たちが日本に集まり、錆丸の所にやってきた。錆丸は少女たちにあることを頼み、そして休暇ごとに錆丸を訪れる「兄達」や旅の仲間にも自身の決意を語る。

最後の最後は、家族の物語。

少年の冒険モノと思わせておいて実は壮大なラブストーリーだった!、の金星特急本編終了後に発刊された外伝集。ウィングス本誌に掲載された物語に、錆丸を描いた描き下ろしの大層満足な一冊でした。表紙の錆丸が幸せそうだなぁ。

短いのからちょっと長めのまで、どれもこれも読み応えはあったのですがやっぱりいちばんボリュームがあった(ように感じた)夏草と三月の出会いの物語がね。それを読んで錆丸の娘にデレデレの三月を読むとね。もうこれ涙腺決壊数秒前。砂鉄とユースタスの物語もね、初期の砂鉄から考えるとなんてマイルドで甘いの!とある種の感動に打ち震えながら、そして二人の新しい「家族」の形がねー。もうなにこれ本当に涙腺決壊もやむを得ない。

描き下ろしの錆丸と娘ちゃんのお話もこれまた。金星堂の女の子をはじめとして、みなさんの「その後」が語られたのはほんとうに嬉しくて(物語のその後の話に弱い)、そして娘ちゃんが可愛くてねぇ。娘ちゃんが「ゆすたす」に簡単に浮気してorzってなる三月が、三月が……(笑)。といろいろな所にわーっとなりながら、そして錆丸の「お父さん」ぶりにこれまたわーっとなりながら、最後まで楽しく読みました。次回作も楽しみだなぁ!

金星特急・外伝
嬉野君/高山しのぶ
ウィングス文庫(2013.11)
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