錬金術師と異端審問官はあいいれない / 藍川竜樹

本の感想, 作者名 あ行藍川竜樹

平民出身の異端審問官ジルベールは多少汚い手を使ってでも貴族を異端の罪で告発し、若手の中でも出世株だったが、今回の異端審問の相棒に選んだ錬金術師マリーはジルベールの思う通りに動かず、あと一歩というところで再調査という結果になってしまう。ジルベールはマリーとともに現地調査に向かうが、空気を読まないマリーのマイペースぶりに振り回されて……

ジルベール、ちょろいな……と思いました(おいしい

コバルトのWEB版で公開されていたという作品の単行本化。ジルベールとマリーの出会いのお話(事件)と、マリーの過去の清算編のお話(事件)の2話収録。WEB公開時は読んでいなかったので(というか、コバルト本誌もあまり読んでいなかったし、WEBに移行してからはチェックもしてないかなぁ……もったいないなぁとは思ってる)、タイトルからして両者ともにツンだ!!!と思ってたんですが、一言でいえば「箱入りマイペースな空気を読まない錬金術師の侯爵令嬢に成り上がってきた(実はいい人の)錬金術師が振り回される」というお話でした。うん、このまとめは間違ってない。
1話も大概重たい話ですが、マリーが空気を読まないようになった理由などが明らかになる2話もこれはきつい、というようなお話で、そんな中マリーがこんなにいい子に育ったのは奇跡以外の何物でもないなぁというようなお話でした。それにしてもジルベールはちょろい(ほめてる)。

一応それぞれ事件は解決しているものの、ここからが主役二人の今後のいいところなのに!というようなところで終わってしまっているのですが、ジルベールさんのいい人ぶりが楽しかったのでよいものでした。

錬金術師と異端審問官はあいいれない
藍川竜樹/天路ゆうつづ
集英社コバルト文庫(2017.10)
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