聖櫃の癒し手-Restauro- / 藍川竜樹

本の感想, 作者名 あ行藍川竜樹

神の力を無効化してしまう能力を持つため、堕天の徒として幼い頃から聖庁の保護のもとで隔離されているエリスは、聖庁での出世を目標に奮闘するも、その正義感が災いし半年で13回の異動を命じられていた。そんなエリスの新しい配属先は、窓際とも呼ばれる聖櫃修復室。そこでエリスは、腕は確かだがただの聖櫃バカのカルヴァンとともに、聖櫃の修復のための出張にでることになる。

全編ギャグかと思えば、終盤はシリアスだった。

現在進行中のシリーズが次で最終巻のようなので、その前のお試し新シリーズかな?と勝手に思ってる(しかしあとがきには読み切りと書いてあった)一冊。エリスがロリ……じゃなくて外見が幼いことを気にしつつも奮闘し、仕事に熱心すぎて周りとのコミュニケーションがうまくとれていないカルヴァンと相棒になっていくお話なのですが、この相棒の絆の形成過程がいいものでした!いいわぁ、バディ(とはちょっと違うかもしれないけど私の中ではバディ)もの。大人達もひとくせもふたくせもある人揃いで、そして今回のゲストキャラのガッツのあるところも読んでいて楽しかったです。

時代設定が途中までイマイチ掴みきれてなかったのですが、電信(モールス信号的なあれ)が世に出回り始めたくらいの文明レベル、とのことで、ちょっと近代に片足突っ込んだくらいの世界が舞台。不思議に満ち溢れている世界ではありますが、一番不思議なのは世にも珍しいエリスの体質。彼女の体質は神の力を無効化するが故に忌み嫌われていますが、どうやら嫌われるだけの力ではなさそうで、もし続くのであればこの辺りが色々と物議を醸すことになると思うのですが、読み切りなのかなぁ。続きもぜひとも読みたいです。

聖櫃の癒し手-Restauro-
藍川竜樹/すがわらりゅう
集英社コバルト文庫(2014.11)
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