31番目のお妃様 / 桃巴

本の感想, 作者名 ま行桃巴

辺境領カロディアの領主リッカロが妹フェリアに隣の領主から頼まれたという「31番目のお妃」を持ち込む。最下位の妃(候補)である31番目のお妃様はなかなかなり手がないものの、31人揃わないとお妃選びも始められないため最後の手段としてフェリアに話が持ち込まれてきたという。何もなければ1年間でお役御免になるということで、フェリアはやる気なく後宮に向かい与えられたオンボロ屋敷を整え畑を耕しお妃様とは程遠い生活を楽しむことにした。

ヒロインの生命力が眩しかったです。

最近なんだかよく見かけるな(たぶん、コミカライズの宣伝とその原作の宣伝)となんとなしにとりあえず原作をまとめてポチっとした1冊目。なろう小説発のシリーズとのこと。
お妃選定期間中はカレンダーどおりに1日目は1番目のお妃様(候補)、2日目は2番目のお妃様(候補)、と王様訪れる順番が決まっているため、回数の少ない31番目のお妃様(候補)はなり手がおらず、そこにとにかく(色んな意味で)強いヒロイン・フェリアがお妃への野望もなく乗り込んで、お妃選考とは無縁の生活を楽しむというこのやる気のない感じの始まり方がなんとも楽しかったです。大まかなあらすじだけ読んだときは、少ないふれあいでもなんかビビビときて(古い)、ラブラブになるんだろうと思っており、たしかにそうだったんですが、まあなんというかいろいろ想定外だった。主に王様(ヒーロー)の影が、この1巻時点ではめちゃくちゃ薄いという点が。
王様の影がめちゃくちゃ薄くても、フェリアが強いし、フェリアの屋敷に配属される人たちがフェリア派になっていく様子は楽しいしで、なんといいますか、本筋(会える回数は少なくてもラブラブな王様とフェリア)より、フェリアのマイペースな暮らしぶりが楽しく、私はもしかしてこの物語のウリの部分ではない部分を楽しんでいるのでは……?と少々疑問を覚えながら読んでいました。楽しかったんですけど。

お妃競争の部分と女官長のモゴモゴについては、特に女官長の部分はんんんんんと湧き上がる何かがあったものの(いくらなんでもあれは管理が悪いというか組織としてどうなの過ぎて以下略)、フェリアが味方を作ってばっさばっさと成敗(比喩)していくところが楽しかったので痛快な気分を楽しめて良いものでした。
続きも買ってるのでぼちぼち読んでいきたいです。

31番目のお妃様
桃巴/山下ナナオ
ビーズログ文庫(2018.6)
amazon/honto/BOOKWALKER