法律は嘘とお金の味方です。 2 京都御所南、吾妻法律事務所の法廷日誌 / 永瀬さらさ
ポンコツ検事の白鷹さんが癒やしだった。
問題のある法律事務所(吾妻法律事務所にあらず)で働く事務員さんのお話と、母親に殺されかけたと訴えるニートのお話と、痴漢冤罪のお話の三本立て。
事務員さんのお話では、吾妻法律事務所にも事務員のバイトとして大学生(たぶん京大生)の大介が加わるのですが、それあかーーーんとドキドキしながら読んでしまいました。若い正義感は怖い。しかしそれ以上にこの話のオチも怖かった。怖い。三話目は最後の最後に少しスカッとするものの、全体的になんて後味の悪い話なんだ……ともやもやを持て余してしまいました。この清濁併せ呑むような展開が(いや、清はないか……吾妻弁護士はお金にがめつい弁護士だからな……)このシリーズの醍醐味であるので、この辺含めて楽しんでしたんですが。
二話目でつぐみの父が吾妻法律事務所に対峙する弁護士として登場しますが、これまたモヤモヤ(笑)。つぐみには祖父(と祖母)と草司がいるのでまあどれだけ父親が嫌味でもいいんだけど、この事件の後味の悪さと父親の感じの悪さで嫌な事件だな!とムカムカしつつも、依頼人があっけらかんとしていたので沈みきらない不思議な話でした。
そして三話目は、草司(となんのかんのと吾妻法律事務所に関わってくる吾妻弁護士のファンのケイ)を一方的にライバル視している白鷹検事が登場されるんですが、この人いい人だった。癒やしでした。(吾妻法律事務所の依頼人である)被疑者のあるお仕事に対して、純粋にファンになって絆が生まれていたのがめちゃくちゃ面白かったです。草司のことがなければ多分いい人なんですよねこの人……。ポンコツいうても検事になってるので世間一般から見たらポンコツではないはずだし(笑)。ケイからすればいいカモかもしれませんが。草司のことも最後はなんやかんやで認めるというか助けになっているような熱い展開を今後期待しています。
めちゃくちゃ卑怯な交渉戦術・法廷戦術を駆使する吾妻弁護士、次はどんな卑怯な手を使うのかなと下衆な楽しみ方もあるので続きも気になります。あと、今回幼馴染成分が少なめだったので次回以降(あるのかな……発行からかなり経過して読んでる私がいうのもあれなんですが)に期待。
法律は嘘とお金の味方です。 2 京都御所南、吾妻法律事務所の法廷日誌
永瀬さらさ/おかざきおか
集英社オレンジ文庫(2019.08)
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