わたしの幸せな結婚 / 顎木あくみ

本の感想, お気に入り, 作者名 あ行顎木あくみ

国を守護する異能を受け継ぐ名家に生まれた美世だが、父母から異能は受け継げなかった。美世の実母が亡くなったあとは後妻と義妹に虐げられ、ないものとして扱われていた美世は、冷酷非道で何名もの婚約者が逃げ出したという清霞のもとに婚約者候補として送られることになる。

そうそう、こういう少女小説っていいよね……というような物語でした。

面白いという評判はかねがね伝え聞いていたので、とりあえず確保しておいて「近いうちに読む」フォルダで待機していた作品(ここ数年の定番コース)、噂通りとてもおもしろかったです。大正っぽい時代を舞台にした和風ファンタジー、素晴らしい少女小説でした[1]レーベルは少女小説じゃないけど、もうライト文芸って少女小説だよね……。タイトルからなんとなく「やさしい」雰囲気を感じていたのですが、文体はタイトル通りの雰囲気でした。ストーリー展開はあんまり優しくなかったですけど。

実家で虐げられて、嫁ぎ先(予定)で大事にされて幸せを掴んでいくというお話なので、ヒロインがどれだけひどい目に遭おうとも最後は報われるとはわかっているものの、早くこの人たち(ヒロインの実家の面々)に天誅を、と拳握りしめながら読んでしまいました。最近わりとマイルドな物語ばっかり摂取していたので、久しぶりに胸糞の悪い悪役だったわ。はあ、ちょっとすっきり(読了後)。

ヒロインの美世は実家での扱いからかなり内向的な性格で、これはもしかして私の苦手なタイプかなぁと思っていたのですが、清霞と生きていくと決意して実家の面々に反旗を翻したりとここぞというときに見せる芯の強さが良いものでした。対するヒーローの清霞は不器用な優しさがいいですね!誰がどう見てもこれは美世にぞっこんでは?という姿に、甘やかされなれてない美世をこれからも目一杯甘やかしてほしいなぁと野次馬根性丸出しで見守ってしまいました。

美世は異能はないといいながらも、母親の実家が持つ異能の力から考えて実は異能持ちなのでは?と思わなくもないので、この先美世の実家関係も大きく関わってくるのかなぁと思いながら、ポチッと続刊の購入ボタンも押しましたので、ぼちぼち読んでいきたいです。

わたしの幸せな結婚
顎木あくみ/月岡 月穂
富士見L文庫(2019.01)
amazon/honto/BOOKWALKER

References

1 レーベルは少女小説じゃないけど、もうライト文芸って少女小説だよね……